VW不正で排ガステスト対策が台無し

他メーカーも大幅負担増に

 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を受け、米環境保護局(EPA)はすべての自動車を対象に排ガス検査を強化すると発表した日本を含めた各国規制当局が排ガス検査に公道試験を追加する形での規制強化で追随するのはほぼ確実自動車メーカーに負担増となってのしかかる可能性が高まっている
VWは違法なソフトウェアを使って試験の時だけ有害物質を減らす機能をフル稼働させていたこれまでの検査はテストベンチと呼ばれる台に車体を固定し、エンジンを回して車輪を回転させ、排ガスや燃費を調べてきた。スピードは自由に変えられるし、自動車の車輪を載せる車輪やベルトに負荷をかけることで、仮想の坂道やカーブなども作り出す手法だ
この方式ではハンドルは動かないこれを逆手にとってVWは、ハンドルが動かない状態が続いた場合に不正ソフトが作動するように仕組んだ
EPAは不正を防ぎ、検査への信頼を回復するには公道での試験を追加するしかないと判断している。関係者は「既にここ2年ほど公道での走行実験をもっと試験に反映させようという動きがあった。今回のVWの不正ソフトウェア搭載問題は、これらの動きを加速させると考えるのが自然だ」という。各国間である程度の情報交換を含めた協力の動きも進みそうだ
不正ソフトを使っていなかったはずの他の自動車メーカーにとっては、なにも心配なさそうなものだが、そうでもない。実は、固定テスト用に数値をよくする「実験術」があるからだ
たとえば、摩擦の小さいタイヤを使ったり、最高級の潤滑油を使ったりする。エンジンの制御ソフトにしてもテストモードを作って「受験への最適化」を試みる。テストは政府機関の施設で試験官立ち合いの下で行われるとはいえ、メーカーのエンジニアがクルマをテスト台にセットし、自分たちで準備をするのでそういう「受験術」を使いやすいという。公道テストになると実際に走行するので、こういう目こぼしや数値改善策が使えなくなる
固定台での試験時に達成される燃費や排ガスの「成績」と実際の走行時のパフォーマンスは、2-3割は違ってくると予想される排ガス規制をクリア―できずに新たな技術開発を求められる可能性がでてくる。宣伝の際に使える燃費に関する公式数値が格段に悪くなってしまえば、売り上げにも影響する。いずれにしても、イメージの悪化は必至だ。
もちろん、固定試験に比べ公道試験はコストもかさみ、メーカー負担はそれだけ重くなる。さらなる技術開発負担に検査費用負担、そして経過的に売り上げに響く負担と、メーカーにとって費用増大は確実だ。VW不正の他メーカーへの波及は、単なる風評被害にとどまらない可能性が極めて高いと言えるだろう。

参考 ニュースソクラ 2015.10.05

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