VW→EV重視に転換

ディーゼルエンジン車の排ガス規制逃れ問題に揺れるドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は13日、次世代エコカー開発でディーゼル中心だった従来の戦略を軌道修正し、電気自動車(EV)などの開発を急ぐ方針を表明した欧州の主要国では新車の半分程度がディーゼル車。今回の問題を受けて他の欧州メーカーでもディーゼルへの依存度を低下させる動きが予想されるほか、環境技術を巡る日本メーカーの提携戦略に影響を与えるとの見方も出ている

VWの動きに欧州勢が追随し、電気自動車やハイブリッド車(HV)の技術で日本メーカーに協力を求めてくるのではないか」。VWの対応を受けて、日本の自動車大手関係者はこう予想してみせた

エコカーの開発競争では、トヨタ自動車や日産自動車などの日本メーカーがHVやEVで先行する一方、欧州勢は環境性能を高めたクリーンディーゼル車で巻き返す構図が続いてきた。トヨタなどは米国市場で優位に立つが、ディーゼル車が多い欧州市場では苦戦。このためトヨタが独BMWと、日産が独ダイムラーとそれぞれ提携し、欧州側からディーゼルエンジンの供給を受けつつ、欧州市場の販売強化に取り組んできた経緯がある

そんな中で起きたVWの排ガス規制逃れ問題は今後、エコカーの勢力図を塗り替える可能性がある。ディーゼル車のイメージ低下に加え、同車に対する各国の規制が強化され、製造コストや販売価格の上昇につながるとの見方があるためだ。ロイター通信によると、欧州自動車工業会は12日、「(過度な規制で)ディーゼル車の一部の価格が高くなり、販売を停止せざるを得なくなる」との声明を発表し、危機感をあらわにした

 VWがエコカー戦略でEV重視の姿勢を示したのも「当局による規制強化の流れを先取りしたもの」(アナリスト)と言え、BMWなど他社のエコカー戦略に波及するとの見方は根強い日米欧の主要メーカーは既に、究極のエコカーとされる燃料電池車(FCV)などの共同開発を進めており、欧州勢などがHVやEVの技術でライバル社との提携強化に動くことも予想される。自動車各社は今回の問題を受けた各国の規制、市場の動向を見極めつつ、提携戦略を改めて検討することになりそうだ。【永井大介】

◇エコカー◇

二酸化炭素(CO2)の排出量が少なく、環境への負荷が小さい車。燃費性能を大幅に向上させたガソリン、ディーゼル車のほか、エンジンと電気モーターを併用するハイブリッド車(HV)▽バッテリーに蓄えた電気でモーターを動かす電気自動車(EV)▽家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)などがある。日本メーカーはHVやEV、欧州メーカーがディーゼルと得意分野は異なる。自動車メーカー各社で開発競争が進む一方、環境技術には莫大(ばくだい)な研究開発費がかかるため、得意分野を軸にした提携も進んでいる今後は水素を燃料とするため走行時に水しか排出せず、「究極のエコカー」と呼ばれる燃料電池車(FCV)の開発競争に注目が集まりそうだ

参考 毎日新聞 2015.10.14

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