TPP合意で韓国の尻に火

世界最大の自由貿易圏誕生に向けた環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意した交渉参加の時機を逃した韓国政府は、TPP加盟の可能性を念頭に置きながら水面下で動いてきた。今後、国内産業への影響などを見極めた上で、TPP加盟に向けた交渉に乗り出すとみられる
◇日本との輸出競争で劣勢の恐れも
TPPは貿易障壁の撤廃を通じアジア太平洋地域の経済統合を目指す多国間貿易協定だ2006年にシンガポールとブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国間で発効し、その後、米国と日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ベトナム、ペルー、マレーシアを加えた12カ国の交渉が進められてきたこれら交渉参加国の経済規模は世界の約4割を占める
アジア太平洋地域における韓国の主要貿易相手国の多くが含まれていることから、韓国もTPP交渉に参加すべきとの指摘は常にあった。
しかし、韓国はこれまで2国・地域間のFTA締結に集中してきた韓米FTAを通じ米市場を攻略しており、最大の貿易相手国である中国とのFTAも発効を控えている。また、韓国は日本などを除くTPP交渉参加国の多くとFTAを締結済みで、あえてTPPに参加しなくても大きな打撃はないという意見がある
その一方で、石油、化学、電子、機械など韓国と主力分野が重なる日本がTPP加盟国の間で影響力を増していけば、韓国の足場が揺らぐ恐れがある
韓国・対外経済政策研究院の2013年の研究結果によると、TPPに参加した場合、協定発効10年後に実質国内総生産(GDP)は1.7~1.8%増加するが、不参加なら0.12%減少する。貿易収支もTPPに参加すれば年2億~3億ドル(約240億~360億円)改善、不参加ならば製造業だけで1億ドル以上悪化すると試算された
そのため、韓国政府も結局はTPP参加を検討するしかないという観測が流れている。新たにフィリピンなど多くの国が合流へ動くこともあり得る
◇TPP参加への動き加速か
韓国政府はTPP参加の意思を具体的に言及することを避けてきたが、参加の可能性を念頭に置いて水面下で作業を進めてきた。民間と共に「TPP戦略フォーラム」を構成し、TPP交渉の進行状況を把握する一方で、韓国経済に及ぼす影響などを分析した。
政府はTPP交渉参加を先に宣言すべきか、TPP発効後に加盟への交渉を本格化すべきかを検討してきたが、崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政部長官は昨年4月の国会企画財政委員会で、TPP交渉妥結後に加盟に向けた交渉に乗り出すとの方針を示した。これは政府として初めて公にTPP参加のタイミングについて言及したものだ。崔氏は米国も歓迎しているとしながら、「最大限有利な条件で加盟するというのが政府の方針だ」と強調した。
TPP交渉の大筋合意を受け、韓国政府の動きは速まる見通しだ。TPP参加を決定すれば、国内法に基づき公聴会を開いて各界の意見を取りまとめ、国会に報告するという手順を踏むことになる。

参考 聯合ニュース 2015.10.06

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