TPP:合意→中国参加せざるを得ない

甘利明・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)担当相は毎日新聞のインタビューに応じ将来は利益を求め中国もTPPに参加せざるを得なくなるとの見通しを示した。厳しい交渉だったことを振り返った上で、日本の農業について今後は海外市場も見据えた産業化を図っていくべきだと強調した。【聞き手・松倉佑輔】

 ◇農業の産業化へ

−−TPPの合意内容は日本農業にとってどのような意味を持つか。

日本の農産物は世界で高く評価されるポテンシャルを持っている守りの側面が注目されがちだが相手国の関税も撤廃した制度も含めて輸出の障害がなくなり、攻めの環境が整った。TPPを契機に農業を産業化するという意識転換を図り、若者が農業に対して夢を持てるようにしたい

−−農家には不安もある。どのような対策を打ち出す方針か。

◆11月中に具体的に政策をつくる。予算対応が必要かどうかはその後の話だ。農業を地域をけん引していく主力産業にしていく。自由化に対する直接の不安に応えつつも、将来の方向性も示さなければならない

−−過去の関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンド対策では約6兆円を投じたが、効果がなかったと批判もある。

◆(ウルグアイ・ラウンドでは)農業と関係ない施設を造るなど賢くない施策もあった。その効果を検証した上で、今度は農業を強くする方向にする。いきなりまとまった予算が必要ということではなく、段階に応じて長期的にやるべきことを精査していくことになると思う

−−TPPの参加国は広がるか。中国への対応は。

ASEAN(東南アジア諸国連合)各国が興味を示している参加国が増えて域内経済が拡大すれば、中国も参加を検討せざるを得ない中国は輸出大国でもあり恩恵が得られなくなるからだ。たとえ参加しない段階でも、投資を呼び込むために中国国内のルールも次第にTPPに合わせざるを得ないだろう

 ◇ぎりぎりのライン

−−日本は日欧EPA(経済連携協定)や、ASEANに日中韓などを加えたRCEP(東アジア地域包括的経済連携)など他の大型の通商交渉も進めている

TPPの大筋合意による連鎖反応が起きるはずだ現に欧州連合(EU)関係者はTPPの行方をみようと待機していた。これで間違いなく動き出す

−−将来的にさらに自由化が進む可能性はあるのか。

(TPPは)かなり限界の数字だ。(影響を)精査した上でこれ以上できないというぎりぎりのラインを探して決着させた数字。RCEPなどがこれと同じ水準になるとは思えない。

−−7月末のハワイ・マウイ島での閣僚会合後は次で決着できると強調し、早期開催を促した。9月末のアトランタ会合では延長を繰り返して決着した。

(ハワイ後は)緊張が途切れると交渉が漂流してしまうとの思いだった。アトランタでの会合には(合意は)五分五分かなという思いで臨んだ。実際、医薬品や日本が絡む(域内生産かどうかを判定する)原産地規則は最後まで難航した。米国は延長を繰り返していたが、日本が最終期限を示したことで初めてまとまる方向に動いた。今回駄目だったら交渉は漂流していた。

参考 毎日新聞 2015.10.22

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