SNSが普及しても孤独を感じる人

SNSが普及して、いつでもサークル内の人々とコンタクトを取れる時代になった人々の表面上のコミュニケーション“量”は飛躍的に増えているのだが、興味深いことに“孤独”を感じる人が増えてきているという

■SNSによる頻繁な接触が皮肉にも“孤独感”を招く

昨年、ローマ教皇フランシスコが米ペンシルバニア州で行った朝の社会教説で、今日の行き過ぎた消費社会が新たな孤独を生んでいると現代社会に警鐘を鳴らしたSNSで「いいね」を多く獲得しようとするあまり現代人は「根源的なさびしさ」から逃れられなくなっていると、SNS批判とも受け取れる発言をしたことで信者以外からも大きな注目を集めた。

また2年くらい前から「Facebook疲れ」や「SNS疲れ」という言葉が聞かれるようになったのもご存知のとおりだやみくもに広がったSNS上の人脈をメンテナンスするのに“疲れて”、実際にSNS上で“遁世”を図ったユーザーも決して少なくないのだろうこれはまさにSNSによってさらに孤独が深まってしまった例である

2013年に発表された研究によれば、Facebookを利用した時間が長いほど、孤独感が深まるなど生活上の満足感が低下するという驚きの研究結果が報告され、それまでのSNS礼賛ムードに水を差しているいつでも他者と接触できるのが真髄であるはずのSNSを利用することで、逆に孤独感を強めてしまうというのは皮肉すぎる結果だろういったい何が起っているのか?

SNSのどのような要素が少なくない数のユーザーの孤独感を育む源になっているのか? それはSNSが醸し出しているあまりにもポジティブな雰囲気にあるという。昨年の「Social Media Week」の記事によれば、SNSではそれぞれのユーザーが自分の生活の良い部分だけを見せてシェアしているという投稿画像などで生活上の良い部分を見せ合って褒めあうことは、いわば虚飾の上塗りを重ねる行為でもあり、これを続けるほど皮肉なことにその人物のとの精神的な距離は徐々に広がってくるのであるまさに“褒め合いの悪循環”を続けることで精神的にも疲れ、疎外感、孤独感すら感じてきてしまうということだ

 しかし多少の疎外感を感じてもSNSに固執する人々も多い。そこまでして人をSNSに執着させているのが、FOMO(Fear Of Missing Out)と呼ばれる「取り残されてはならなない」という心理だ。ちなみにこのFOMOは学術用語ではなく、2011年に「New York Times」がこの現象を取り上げ記事の中でこの心理を「FOMO」と名付けたことで知られるようになった。そしてこのFOMOの症状を帯びた人が、本当に“SNS疲れ”を起してしまった場合はかなり危険であることはいうまでもない最悪の場合は深刻な精神疾患にさえ繋がることさえあるのだ。そこに潜んでいる危険性をじゅうぶん承知した上で有意義にSNSを活用したいものだ

■“孤独”はタバコ15本分の健康被害と2倍の肥満リスクを伴う

現代では慢性的な孤独感を抱いている人がかつてないほど増えている。2010年にAAAP(American Association of Retired Persons)が発表した研究によれば、アメリカ人の成人の35%が慢性的な孤独感を訴えているということだ10年前の調査では20%だったのが、この10年で10%も増加している。もし今同じ調査すれば、40%前後の数字が出てきてしまうのかもしれない。「これまでずっと続いていて、今後もさらに続いていくと感じられる孤独感が、幸せな生活に欠かせない周囲の人々との交流を妨げているです」と研究は結んでいる

そしてやはり指摘されてくるのは、SNSがこの状況をさらに悪い方向へ導いているのではないかという点である。孤独な人ほどSNSを含むインターネットに費やす時間が長くなり、それがさらに社会的孤立を招くという悪循環を起しているということだ

さらに深刻なのは、孤独は身体に実害を及ぼすという研究もあることだ。2010年に発表された研究によれば、社会的孤立状態は紙巻タバコ15本分の健康被害をもたらし、一般の人に比べて2倍太りやすくなるということである

また別の研究では、あらゆる年齢層で孤独は精神疾患から循環器系疾患まで様々な疾病のリスクが高めるということで、実験では孤独な状態が高血圧や睡眠障害を引き起こしやすくなることが確認されている加えて孤独が頭痛、悪夢、関節痛、さらには心臓疾患や糖尿病の要因なっているという報告まであるようだ

2012年に2200人の成人を対象に行なわれた調査では、孤独を感じている人はアルツハイマー病発症リスクが高まると報告されているほか、45歳以上の成人4万5000人を対象にした研究ではひとり暮らしの人のほうが心臓発作で亡くなる可能性が高いというレポートも発表されている。孤独が健康に与える悪影響がもはや無視できなくなっているのだ

しかし有効な対策はいくつもあるようだ。医療情報サイト「One:Life」では、孤独と戦うための周囲の人々との関係性の構築において、4つのアドバイスを行なっている。

1.交流の多さよりも質を重視すること
社会的活動において満足感を得るためには、お互いに頼りにし合えるほんの少しの交流があれば事足りる。知人を増やそうとするのではなく、少ない友人との間の交流の質を高めることを重視する

2.ボランティア活動に参加する
利他的(altruism)な行為であるボランティア活動に取り組むことで精神的充足感を味わうことができる。機会を見つけてぜひボランティア活動に参加したい

3.ペットを飼う
これまでの研究によって、ペットを飼うことで孤独感が和ぎ健康の維持に大きな貢献を果たすことがわかっている。具体的には、気分の高揚、血圧の低下、ストレスの低減などだ。また、犬の場合であれば散歩をさせることで運動をする機会も増え、また他のペットオーナーとの新たな出会いも生まれる

4.精神医学の成果を活用する
精神医学がこれまで培ってきた成果を積極的に活用することも検討すべきだ。認知行動療法(Cognitive behavioral therapy、CBT)などを行なっている施設もあるので調べて参加してみてもよいだろう

■最強のコンフォートフード「チキンスープ」の効能

ひと口食べるとホッとする食べ物のことをアメリカではコンフォートフード(comfort food)と呼ぶが、これはありふれた家庭料理でありながらも、食べれば身も心も温まり、寂しさや悩みもいったん棚に上げておけるような料理のことだ日本人にとっての“おふくろの味”や“なつかしの味”ということになるだろうか

そして実際、コンフォートフードがもたらす癒しの効果は科学的にも突き止められている。コンフォートフードは子ども時代の楽しくて居心地の良い体験とセットになって記憶に刻まれていて、食べたときには味と共に楽しかった記憶も一緒に思い出されてくるため、精神を落ち着かせる働きをもっているのである

日本人にとっては味噌汁やおにぎり、ウドンや卵かけご飯などが思い浮かんでくると思うが、アメリカでコンフォートフードの筆頭にくるのチキンスープである。そして実際、チキンスープには心と身体を癒す様々な効能があるのだ

アメリカでは風邪を引いたときの食べ物としてもポピュラーなチキンスープは消化吸収が良く、理想的な水分補給手段になるという風邪の症状の緩和には水分補給が重要だが、その点でチキンスープはきわめて重宝するフードメニューなのである

食欲のない時でも効果的にタンパク質を摂取でき、野菜をたっぷり使ってあることからミネラルやビタミンなどの微量栄養素もまんべんなく取り込むことができるこれらの複合作用で、身体の炎症を抑え抵抗力を上げる働きを生むのであるさらに温かいチキンスープを飲むことで、気道の通りを良くして鼻づまりを解消する働きや、食道の洗浄効果もあるのだ

栄養豊富で消化吸収に優れ、しかも低カロリーというチキンスープはコンフォートフードという以上に、心身への癒し効果バツグンの家庭料理だと言える。塩分にはじゅうぶん配慮しつつも、疲れたときや孤独を感じたときなど、あつあつのチキンスープに舌鼓を打ってみてはいかがだろうか

文/仲田しんじ

@DIME2016.05.29

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