SAKEに続け→九州の焼酎を輸出

九州の焼酎メーカーが海外進出を加速させている欧州市場参入の足がかりにしようと、複数の社がイタリア・ミラノで開かれている国際博覧会(万博)に出展し、好評を博した。鹿児島県商工会連合会は奄美群島特産の黒糖焼酎をドイツに売り込む活動に取り組んでいる和食人気を追い風に、海外市場開拓に力を注ぐ

米焼酎で知られる高橋酒造(熊本県人吉市、高橋光宏社長)は5月21~23日の3日間、ミラノ万博の日本館で、試飲イベントを開催した

今年で発売開始30周年を迎える本格米焼酎「白岳しろ」と、「寿司(すし)に合う究極の焼酎」を目指して開発したプレミアム米焼酎「百」を提供し、約1400人の来場者が舌鼓を打った

高橋社長は少子高齢化や人口減少など、地方を取り巻く生活環境が変わる中、輸出に向けて、海外における焼酎のブランド化をいかに図るかが喫緊の課題となる日本の蒸留酒・焼酎を世界中に理解してもらえるよう努力する」と語った

海外で日本酒「SAKE」の知名度が向上する一方焼酎の海外進出は遅れを取っている

国税庁によると、平成25年の輸出金額は清酒105億円に対し焼酎は20億円に過ぎない焼酎の輸出先は中国、米国、香港が上位を占めるが全体の輸出量は、横ばいで推移している

日銀鹿児島支店は26年4月にまとめた「焼酎業界の現状と課題~価格動向および海外展開について」で「海外での焼酎の知名度が低いほか日本と海外の間での蒸留酒に対するとらえ方の違いなどの影響もあり、焼酎輸出は伸び悩んでいる状況にある」と分析した。

同支店は輸出拡大に向け、(1)輸出相手国に応じた対応(2)現地の食習慣を踏まえた飲み方の提案(3)ブランディングなど販売戦略(4)メーカー間だけでなく、第1次産業や外食産業など他業界との幅広い連携-などの方策を提言した。

この提言にあるような輸出拡大への取り組みも、徐々にではあるが進んでいる

鹿児島県内の中小企業を支援する県商工会連合会は25年度から、奄美群島特産の黒糖焼酎をドイツで売り込む

国の「JAPANブランド育成支援事業」の補助金を活用し、25年1月と10月にベルリンの日本大使館で「黒糖焼酎の夕べ」を開催した。欧州最大の飲料展示会にも参加し、日本食レストランでのフェアや商談会も開催した。この結果、奄美の8つの蔵元から、輸出が始まった

海外進出にあたって同連合会は、黒糖焼酎を素材にしたカクテル考案に力を入れた。ドイツの有名ホテルなどで活躍するトップバーテンダー2人を「黒糖焼酎アンバサダー(大使)」に任命した2人は、焼酎を使ったカクテル開発や、欧州での広報活動に尽力しているという

また、ミラノ万博のイベント広場で開かれた全国商工会連合会主催の「日本のSAKE」イベントに参加し、黒糖焼酎をアピールした

同連合会の森義久会長は「欧州で人気となったカクテルを逆輸入し、鹿児島でも黒糖焼酎の消費拡大につなげていきたい」と語る。

人口減少などで酒類の国内市場は大きな伸びを期待できない。焼酎メーカーの海外展開は、今後も熱を帯びそうだ。(谷田智恒)

■高橋酒造 「Buono!」と絶賛 欧州の販路拡大に手応え

◇高橋宏枝課長に聞く

試飲した約96%が米焼酎を「Buono(おいしい)!」と絶賛-。ミラノ万博の会場で、高橋酒造(熊本県人吉市)の米焼酎が高評価を得た。同社の高橋光宏社長の長女で、海外営業本部課長、高橋宏枝氏(26)は「もっと世界中の人に米焼酎を楽しんでほしい」と、海外展開への意気込みを語った

今回のイベントは、「食中酒」として長く愛されている米焼酎の魅力を広く知ってもらうことが目的でした。料理の素材本来の味を引き出す力を持っており、和食だけでなく、どんな料理とも相性がよいんです。イベント会場には欧州を中心に、食への高い関心を持った来場者が集まり、大盛況のうちに終了することができました。

来場者を対象に「米焼酎はおいしかったですか?」という質問をしたところ、114人中109人が「はい」と回答してくれました。具体的な感想では、イタリアのバーテンダーの男性は「最近、自分のバーでは、日本のウイスキーが流行している。次は米焼酎ブームがくるかも。ボトルも高級感があっていいね」とほめて下さいました。他の来場者からも「のどごしがよく飲みやすい」など、好意的な意見が多く寄せられました。

今回の試飲イベントは、一般社団法人「おにぎり協会」のブース内で開きました。梅干し入りおにぎりと「白岳しろ」を一緒に提供したんですよ

試食した来場者からは「デリケートな味わいで、おにぎりに合う。よく日本酒をスーパーで買って飲みますが、日本のお酒ではこの米焼酎が一番おいしいと思いました」という感想もいただきました。

来場者の米焼酎に対する予想以上の反応の良さに驚きました。日本の歴史ある米焼酎が、欧州の人にも受け入れられたと嬉しくなると同時に、欧州での販路拡大に手応えを感じました

高橋酒造は1999年、米ロサンゼルスに初めて輸出しました。その後2年間で、全米5カ所に販売拠点を拡充し、中国や台湾、韓国などにも販路を広げました現在では世界27カ国・地域に輸出しています

ただ、欧州への輸出はまだまだ少ないですね。

私は4年前から海外営業本部で輸出を担当しています。主要取引先は日本食レストランですが、もっともっと現地の人に米焼酎を楽しんでもらいたい

大切なのは、現地の嗜好(しこう)に合う商品開発と、飲み方の提案です。

各地のバーテンダーの力を借り、米焼酎の特長を生かしたカクテル開発に取り組んでいます。昨年10月には、他の焼酎メーカーさんとも合同で、米アトランタでカクテルコンペティションを開きました。

ミラノ万博をきっかけに、イタリアへの販路が確保できそうです。欧州での営業展開に力を注ぎます。輸出増加は、国内販売にも好影響を及ぼします。海外で受け入れられているということは、国内での高評価につながるからです

将来、欧州のバーに米焼酎を並べてもらえるよう頑張ります。

参考 産経新聞 2015.06.26

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