MRJ→初飛行延期

三菱航空機が10日に正式発表した開発中の「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行の延期同社は機体の完成度を高め、飛行試験を円滑に行うためだと強調し、納期は「厳守」の方針だ。だが、今後も予想外の問題が生じるリスクはあり、受注活動への影響も懸念される。同社は開発加速を狙って今月、役員を一新したばかり。新体制は早くも正念場を迎えた。【和田憲二】

 「初飛行の『遅れ』ではなく『見直し』だ大きなトラブルは一切起きていない」。MRJチーフエンジニアを務める三菱航空機の岸信夫副社長はこの日の記者会見で強調した。延期の理由は、非常用発電装置の取り付け部などに構造変更が必要になり、これらを事前にまとめて改修するため初飛行は遅れるが、機体をより完成形に近づけることで飛行試験が効率よく進み、納期を守れると判断したという

だが、6月には各国の航空会社などが集まる「パリ航空ショー」がある。その前に初飛行させれば格好のアピール材料となっただけに、商談の好機を逃したのは大きい海外営業の経験を買われて今月就任した森本浩通社長は「パリの前に飛べば、ベターだった」と認めた

一方、試験に費やす飛行時間は2500時間の計画を変えないといい、今後の日程は過密化しかねない。1日3、4回の飛行が可能な北米拠点に持ち込む試験機を、従来計画の3機から4機に増やしてカバーする方針だが「開発の中で予想しない事象は起きる」(岸副社長)初飛行後に新たな問題が生じた結果、大きな設計変更を迫られて納期を延期する事態になれば「顧客の信用を失い、受注が一部キャンセルになる可能性もある」(大内卓SMBC日興証券シニアアナリスト)との指摘もある

MRJ事業が軌道に乗るまでには、各種試験や受注活動と並行して、機体の運航マニュアルや整備拠点の整備、部品供給網や量産体制の確立、パイロットの訓練などが山積している。開発は綱渡りの状況が続きそうだ

参考 毎日新聞 2015.04.10

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