MERS→観光目的地が日本へ

MERS(中東呼吸器症候群)ウイルスが韓国で猛威を振るっている。韓国保健福祉省の発表によると、6月15日現在でMERSによる死者は合計16名。隔離対象者は5,200人を超えた。また、韓国経済への影響も出始めており、韓国銀行(中央銀行)は韓国国内の消費喚起を狙いとして、政策金利を過去最低の年1.5%に下げた。MERSが猛威を振るう中、これをビジネスチャンスとする銘柄はあるのかを見ていく。

■MERS関連銘柄の更なる株価上昇は期待薄

 すでにMERS関連銘柄として注目を浴びているのはクリーンルーム製造の日本エアーテック<6291>や防護服販売のアゼアス<3161>である。日本エアーテックの6月12日終値は808円と、5月末の終値の627円から既に28.9%上昇している。

また、アゼアスの株価も、6月1日終値の593円から上昇傾向にあったが、6月8日の1,288円をピークに下落傾向に転じていることから、今後爆発的に株価が上昇傾向に移ることは難しいと見ている。さらに、日本エアーテック、アゼアスの両者ともに韓国に海外拠点が無いこともあり、今回の韓国MERS騒動が両者の更なる業績向上には結びつかないと考えられる。

■インバウンド銘柄に業績の上ぶれを期待

一方、MERSによる業績向上が期待されるのはインバウンド関連銘柄である。なぜなら韓国への外国人旅行客はMERSにより確実に減少する。特に中国、台湾、香港から韓国の旅行客が目的地を日本へ代えての旅行、特に韓国に近い九州へ目的地を変更することが想定され、九州への訪日客数が上昇することが考えられる

事実、朝鮮日報の報道によると6月1日から10日まで韓国旅行をキャンセルした外国人は合計で約8万4千人であるが、国別の内訳では台湾が5600人、中国が5400人、香港が3100人と日本の1620人を超え、トップ3となっている。ゆえにインバウンド関連銘柄、特に九州に拠点を持つ銘柄に注目したい。

■ラオックス、西日本鉄道、ロイヤルHDに注目

九州関連インバウンド銘柄として期待できるのは、ラオックス<8202>である。ラオックスは訪日中国人向け免税店として業績を伸ばしているが、JR博多駅に程近いキャナルシティ、2012年から九州最大規模の店舗であるキャナルシティ博多店を展開している。

また、2015年3月と4月には「長崎港松が枝ターミナル店」及び「タワーシティ長崎店」の開設を発表しており、九州への訪日観光客増が更なる業績増に繋がる可能性がある。

福岡県で電車事業と九州一円でバス事業を展開している西日本鉄道<9031>も業績向上が期待できる銘柄だ。西日本鉄道が5月に発表した2016年3月期事業計画によると、西鉄イン博多のリニューアルや福岡の中心地である天神地区にある商業施設「ソラリアプラザ」のリニューアルなど、インバウンド需要の取り込み強化の投資を計画している。

さらに、西日本鉄道は九州一円で高速バス事業を展開していることから、訪日外国人客増がバス事業の売上増に繋がると思われる。

福岡空港の空港レストラン事業、福岡空港発着便の機内食事業を請け負っているロイヤルHD<8179>は意外なインバウンド銘柄かもしれない。福岡空港の国際線利用客数は、平成25年度では前年比5.0%増の約319万人である

また、福岡市の発表によると、平成26年の福岡空港・博多港からの外国人入国者数は前年比33%増の120万人と大きく伸びているロイヤルHDは2014年12月期決算では売上高は過去最高の1,248億円。営業利益は2008年12月期から6期連続の増益で44.1億円と業績は好調だ。

また、2015年7月には沖縄に機内食工場の開設を予定しており、九州と同様にインバウンド外国人の増加が予想される沖縄の需要を取り込む狙いがあると考えられる。MERSによる訪日外国人増は今後顕著に現れてくるものと考えられ、今後の動向に注目したい

参考 (ZUU online 編集部) 2015.06.15

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