IT眼鏡、大進化→疲労計つき

眼鏡が今年、大きく進化しそうだIT化して高度な機能が付いた「スマートグラス」の開発が進んでいる。今月、米国で開かれた家電見本市でも、日本のメーカー各社がこれまで培った技術を生かし、従来の常識を大きく変えた製品を登場させた

●疲労計つき発売へ

眼鏡メーカーのジェイアイエヌはかけた人の疲労度が分かる「JINS MEME(ジンズ ミーム)」を今春に発売する。価格はまだ発表されていない。見た目は普通の眼鏡だが、鼻パッドと眉間(みけん)にセンサーがあり、まばたきや眼球の運動を計測する

人は眠くなると急激にまばたきが減るなど特有の動きをする。JINS MEMEはドライバーの眠気の兆候などを事前に察知し、スマートフォンなどで音声を発して警告する。職場で利用する場合は、自分がどのぐらい疲れているかを教えてくれる。蓄積したデータは眼科やスポーツ医学などの医療面に役立てることもできる。

同社は将来的には目の動きだけでゲーム機を操作できるなど多様な展開も想定している。眼鏡メーカーならではのデザインや軽さにもこだわる。経営企画室リーダーの清水唯史さんは「人間が五感から得ている情報のうち9割は視覚からだ。目の動きで操作する技術を社会に役立てられれば」と話す

●見る人ごと別画面

 神奈川工科大は、同一の3Dモニターを見ても、専用眼鏡をかけた場合とかけなかった場合では異なった映像が見える多重化不可視技術を利用した「ExPixel(エクスピクセル)」を開発した。年内には富士通グループでソフトウエアを開発する富士通ソーシアルサイエンスラボラトリと協力し、専用眼鏡をかけた人とかけない人で異なるパワーポイント資料が見えるソフトを出す予定だ

家庭用の開発にも力を入れる。例えば1台のパソコンの画面で、親が書類作りなどの作業をしているとしても、同時に子どもはゲームができる。将来的には、テレビ波にも対応させ、同じテレビ画面で親はスポーツ中継を見ていても、子どもはゲームができるようにする。今後、家電メーカーなどとの共同開発を目指す

実際に研究用の1台の画面で子どもたちが異なるゲームを体験したところ、会話が弾んだといい、情報学部の白井暁彦准教授は「リビングに置かれたテレビを親子が同時に利用すれば、家庭でのコミュニケーション復活にもつながる」と語る

東芝は眼鏡をかけると目の前に立体画像が現れる「東芝グラス」をビジネス用に発売する予定。同社が培ったテレビ開発の技術を応用した。建設現場や倉庫で、眼鏡に映る図面を見ながら作業ができる

また、遊園地のアトラクションなど多彩な利用方法も想定する。安全性が確認されれば、医療にも利用し、海外の専門医からの指示を東芝グラスに映し出し、日本で専門医の指示を受けながら手術をすることも可能になるという

ソニーも昨年12月、「片目用ディスプレーモジュール」を発表した。眼鏡の向こう側の視界に情報を表示でき、例えばゴルフの最中にコース図を映すことができるという。企業向けに販売し、2015年中の量産を目指す

●レンタルで体験も

うした立体画像に関する製品の先駆けはセイコーエプソンで、同種の眼鏡を開発した米国のグーグルよりも早い11年に「MOVERIO(モベリオ)」を発売。昨年6月に改良型の「MOVERIO BT−200」(約7万円)と「MOVERIO BT−200AV」(約9万円)を出した。

同製品は眼鏡の両脇に小型のプロジェクターを付け、眼鏡をかければ目の前にプロジェクターから発した動画が浮かぶ仕組み。コントローラーを利用して、場所を問わず市販のネット動画配信サービスなどを楽しめ、AV(音響・映像)ではブルーレイレコーダーにも無線で接続する

自宅の寝室で寝転んで見たり、新幹線などの長期移動時に手軽に動画を利用したりできる。今年3月までレンタルも行い、スマートグラスを体験してもらう。同社は「小さくする技術が得意なメーカーがチャンスを生かせる」としている。

参考 毎日新聞 2015.01.30

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