2030年の燃料電池車→24時間働く

 トヨタ自動車が2015年10月開催の「東京モーターショー2015」で初披露した燃料電池車のコンセプトカー「TOYOTA FCV PLUS(以下、FCV PLUS)」が、東京タワーそばのイワタニ水素ステーション芝公園(東京都港区)内にある「TOYOTA MIRAI ショールーム」で、2016年3月2~14日にかけて特別展示されている。

【「FCV PLUS」に組み込まれているインホイールモーターなどその他の画像】

FCV PLUSは、2030年ごろの燃料電池車の在り方をイメージして開発されたコンセプトカーだ。全長3800×全幅1750×全高1540mmという、小型車「ヴィッツ」と同程度のサイズに、小型化した燃料電池システムや水素タンク、インホイールモーター、ワイヤレス給電システム、3D加工技術による軽量ボディなど、2030年代までに実用化が想定されている将来技術が詰め込まれている

FCV PLUSがモーターショー会場外で一般公開されるのは初めて。車両の中に入ることはできないものの「内装などを含めて、一般の方がここまでじっくり見れる機会はなかった」(FCV PLUS開発責任者でトヨタ自動車 製品企画本部 ZF 主幹の盛合威夫氏)という。

盛合氏は「『ミライ』を発売した次の年となる東京モーターショー2015では、単にミライの次のモデルをコンセプトカーとして見せるのではなく、燃料電池車や水素社会を身近に感じてもらうとともに、生活をどれだけ幸せにできるかを示したかった。FCV PLUSは、そのために開発したコンセプトカーだ」と語る。

●「クルマが止まっている間に何ができるのか」

FCV PLUSのコンセプトの中でも盛合氏が強くアピールするのが「24時間働くクルマ」である。1日のうちで乗用車が実際に利用されているのは平均1~2時間程度で、それ以外の時は止まっている。「クルマが止まっている間に何ができるのかを考えることは、自動車メーカーにとって今後の大きなテーマになるだろうFCV PLUSは、2030年ごろに水素ステーション以外に入手方法が広がっているだろう水素を使った『移動できる発電機』としての利用により、24時間働くことを想定している」(同氏)。

FCV PLUSは、ワイヤレス給電システムによるインフラ側への送電や、隣に駐車している電気自動車への送電などができるようになっているエネルギー源となる水素は、車両の後方中央に設置したコネクタを使って充てんする盛合氏は「2030年ごろの大規模商業施設の駐車場であれば、自動駐車した燃料電池車に自動的に水素を充てんするシステムなどが用意されるようになっているだろう。そういったシステムを想定すると、水素充てんコネクタの設置位置は、現行のミライのように車両の後側方ではなく、車両後方中央になる。これらの駐車場内に駐車している複数の燃料電池車は発電機として働き、大規模商業施設に電力を供給する」と説明する。

2030年ごろを想定していることもあり、現時点での実現性は感じられないかもしれないFCV PLUSだが、トヨタ自動車が作るクルマの将来像の1つでもある。FCV PLUSに組み込まれている技術がどのように実用化されていくのか、興味深いところだ

MONOist 2016.03.03
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