2015年から変わる→介護のコト

日本に介護保険制度があることは、だれもが知っていると思いますが、それが2015年4月以降、一部内容改正されることをご存知ですか? それにともない、介護そのものも変わる部分が出てくるのです。他人事と思っているあなたにも、明日から突如はじまるかもしれないのが「介護」です。そんな「介護者予備軍」にでも分かるように、2015年の介護保険法改正のポイントを見ていきましょう。

◆なぜ2015年に介護保険制度が変わるのか
なぜ今回、介護保険制度がこのタイミングで変わるのでしょうか。
そもそも介護保険は、2000年にスタートして以来、3年に一度改訂を重ねてきました。2015年もその改訂の年にあたり、それに向けた内容の審議が進められ、2014年6月に「医療・介護総合推進法」(正式名称は「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」)が成立、それにともない介護保険法の改正も具体的に確定しました

この改訂は、統計で65歳以上が人口の3割にあたる約3600万人、75歳以上が2割弱にあたる約2200万人となる、2025年に向けた医療と介護の改革案です。そのなかでは、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続しやすいようにするために、在宅医療と介護連携の推進、認知症対策の推進、生活支援サービスの充実など、より地域に密着した形での介護サービスの実現(地域包括ケアシステムの構築)を目的とした内容が盛り込まれています

◆暮らす街により介護の格差が生まれるかも?
介護現場に関わる主要な変更点のひとつが、介護度の低い人たちにとっての仕組みが大きく変わることです。

今まであった「要支援1・2」の人に向けた「訪問介護」と「通所介護」(=デイサービス)は、2015年4月から「地域支援事業」という形になり、それまで全国一律の基準で進められていたものが、市町村に権限が委譲されることになります

これにより、地域の実情に則したサービスが実現でき、また、NPOや民間団体、ボランティアなど地域の多様な組織、団体が関われるようになる、というメリットが出てくると言われています。確かに国より地域に根ざした団体のほうが、住民としては関わりやすい側面もあり、多様な選択肢が得られることで、自分の好みにあったサービスを選べるのは悪いことではなさそうです

ただ一方で、これまで全国一律の水準が保たれていたサービスが、市町村に委託されることで、市町村間でのサービスの有無や内容、料金に「格差」が出てくる可能性もあります

◆特別擁護老人ホームへの入居基準が厳しくなる
次に、特別養護老人ホーム(通称「特養」)の入居基準の変更です。
これまでは基本的に「要介護1~5」の人が対象でしたが2015年4月からは比較的介護度の高い「要介護3~5」までの人に限定されます介護度の低い「要介護1・2」の人は、原則として「特養」に入居できなくなるのです

保育所の待機児童のように、「特養」も入居待ちが多件数存在し、社会問題化しているため、今回の基準厳格化は評価できる点もあります
ただ、特に認知症の介護度は曖昧な部分も多く、例えば自宅で家族といる時は介護度が高くても、他人が来ると緊張感が出るのか、急に介護度が低くなるケースもよくあると言います。ですので、介護度は低くても、在宅での介護が難しい人は少なからず存在すると言われています。

ただ、「認知症高齢者であり、常時の見守りや介護が必要」などやむを得ない事情がある場合は、「要介護1・2」でも入居可能とされています

◆一部利用者負担を1割から2割に引き上げ
介護サービスの利用者負担額も一部変わります。
これまで介護保険制度では、原則サービス料全体の1割が利用者負担とされてきました。しかし、2015年8月からは、一定以上の年金収入がある場合(単身での所得が280万円以上)、自己負担額を2割とすることになります。

ただ、上記に該当する人が全て負担額が倍になる、という訳ではありません。介護保険には、自己負担限度額(高額介護サービス費)というものが設けられており、一世帯月額3万7200円が上限として定められています。しかしここでも、現役並み所得相当と見なされる世帯には、上限が4万4400円まで引き上げられる予定となっています。

また、細かい部分ではありますが、施設において住民税非課税世帯の入居者は、食費や居住費に補足給付が支給されてきましたが、一定額の預貯金等(単身で1000万円以上、夫婦世帯で2000万円以上)がある場合や、配偶者に住民税が課税されている場合などは、支給対象から外されることになります

つまり収入があれば負担額を増やす、免除対象から外す、など、所得のある人には保険のサポートは減らしていく、ということです。仕組みとしては妥当なようにも感じますが、数字的な妥当性が今後問題になってくることは大いに考えられます。

対照的に、いわゆる低所得者とされる、世帯全員の市町村民税が非課税の人の場合は、すでにある軽減率がさらに拡大され、より負担が軽くなることになります。2015年4月からスタートします

◆一律の介護から、所得や介護度に応じた介護へ
その他、小規模型通所介護に関する見直しや、サービス付高齢者向け住宅(サ高住)への住所地特例の適用など、さまざまな変更が順次はじまりますが、実際に介護現場に関係する変更点をまとめると、以下のことが言えるでしょう。

●介護度が低い人は、なるべく施設に入らず、地域のなかで生活する
●所得の高い人はより負担し、所得の低い人は負担を減らす

その基準については、実施後に問題が出てくる可能性もありますが、介護財源の限界や、前出の高齢者増加を考えると、こうしたシフトチェンジはある程度やむなし、と言えるでしょう。

いずれにしても、「介護予備軍」のみなさんにとって大事なのは、こうした変わっていく介護の仕組みをしっかりと知り、きたる介護の時にも冷静に、的確に対応する準備しておく、ということです。

参考 Mocosuku編集部 2014.12.20

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