高齢者は虫歯にならない?

■1.高齢になると歯周病になるが虫歯にはならなくなる?

乳歯が抜け始めた頃に生えてきた永久歯は、また柔らかく幼若永久歯とも言われていますそのため虫歯になりやすく、予防としてフッ素などを利用して、早く歯の表面の構造を緻密化して虫歯に対しての耐酸性を高めることが虫歯リスクを下げることにつながります

その頃から酸性食品やプラークなどで、「溶ける→再石灰化」を繰り返していくうちに徐々に歯のエナメル質が硬くなっていきます。すると高齢になればなるほど再石灰化が繰り返されますね。これって虫歯になりにくくなるということなのでしょうか?

年齢と共に変化することといえば、歯周病の進行です歯周病が進行するとそれまで歯ぐきに隠れていた歯の根(象牙質)が露出してきます。しかしそれまで再石灰化が繰り返されてきたのは、歯の白い部分のエナメル質です

さらに年齢と共に唾液の分泌量が減少するため、唾液による自浄作用や、中和能力、再石灰化能力も減少してしまうのです

そのため高齢者によく見られる虫歯の一つに、唾液が減少したことによる歯の根の虫歯(根面齲蝕)があります唾液が極端に減少すると複数本連続で虫歯になってしまう多発性根面齲蝕が発生することがあります唾液による歯の硬質化が期待できない場合には、フッ素などで歯の耐酸性を高めるなどの対応も有効な方法と考えられています

□答え:ウソ

■2.どんな虫歯も探せば小さな穴がある?

虫歯は、プラーク内の虫歯菌が糖類を取り込み、強い酸を出すことで、歯に穴が開くというメカニズムですそのために虫歯になると穴が開いて、内部にプラークが入り込み加速度的に虫歯の穴を拡大していきます自覚症状が現れるのは、この穴が空いた頃が多いようです

しかし、歯は酸に溶かされっぱなしというわけではなく、唾液によって溶かされるたびに修復(再石灰化)が行われていますこの唾液による修復が間に合わなくなった場所が虫歯になっているのです唾液は歯の表面に多く接触しています。そのためケースによっては、内部が酸で柔らかくなっているのに、入口部分のエナメル質だけがどんどん修復されてしまうこともあります

まるで虫歯が歯の内部に閉じ込められるようになるのです。表面は唾液の修復が続いているために、虫歯の穴がなくても内部が虫歯という現象が起こります

□答え:ウソ

■3.歯の再石灰化を繰り返して少しだけ大きくなる歯がある?

初期虫歯で起こることといえば、歯の表面がプラーク中の虫歯菌によって、わずかに脱灰が起き歯が溶ける現象です。脱灰が続けば歯が溶けて穴があいてしまいますが、実は歯が溶かされてしまっても唾液中のミネラルイオンなどが表面に付着して再石灰化が行われます

すると一度溶けたはずの歯の表面が元の状態に戻るのです。しかも「溶ける→再石灰化」を繰り返すたびに、少しづつ元の歯の表面よりも硬化して酸に溶けにくい状態に変化します。そのため初期虫歯は再石灰化で自己修復させることが大切で、無理に歯を削って詰めずに経過観察することが多いのです

そこでもし脱灰がほとんど起こらず、再石灰化が起こり続けるとどうなるのでしょう。ミネラルが数十年にわたって添加し続けるのならば、わずかながら歯が大きくなるかと思うかもしれません。

しかし実際には再石灰化は脱灰した部分にしか働かないため、歯が大きくなることはありません。再石灰化で大きさが変わるようであれば、一本の歯の中に脱灰しやすい部分とそうでない部分が混在しているため、年齢と共に歯の形態がいびつな形に変化してしまいます。

□答え:ウソ

■4.歯石がある場所は、虫歯にならない?

プラークが多く付着して不衛生な場所は、虫歯や歯周病菌などがたくさん存在していますそのため虫歯や歯周病になりやすい状態ですその細菌の塊であるプラークは、たくさんの唾液にさらされると石灰化して歯石となって固まります。歯石の表面は凸凹しているため、さらに細菌が付着し石灰化を繰り返して歯石が成長していきます。歯石表面のプラークが歯ぐきに接触したままになると炎症を起こし歯周病を引き起こします

それでは歯石が最初に歯に付着している面を考えてみましょう。歯の表面に初めてついたプラークは、細菌の活動も活発で、虫歯を引き起こす可能性あります。しかし基底面のプラークが歯石に変化すると、無機質となるため内部の細菌は生存することができずにただのカルシウムの粒が歯に密着しているにすぎません。カルシウムはアルカリ性ですし、虫歯菌も活動していないため、細菌の出す酸によって歯を溶かす虫歯が起こることがありません。

ただし歯石の基底面や内部は無菌でも、表面は細菌が多く存在するため、虫歯にならなくても歯周病のリスクが急速に高まるため歯石除去が必要になっているのです

□答え:ホント

■5.虫歯菌がいてもプラークがなければ虫歯にならない

生まれたての赤ちゃんの口の中には、虫菌や歯周病菌は存在せず、無菌状態になっています。虫歯や歯周病菌は生まれた後、外部から感染してしまうため、子どもとスプーンなどの食器を共用することで最初の感染が引き起されると考えられています

いつの間にか口の中に入り込んだ虫歯菌は、増殖するとプラークとなって歯の表面に付着します。このプラークは1グラムあたり、2.5×10の11乗もの細菌が存在しています。このプラークが糖質を取り込むと酸を出し、穴を開けて虫歯を作ります。さらにプラークは歯に密着して再石灰化を妨害する働きがあるのです。しかしプラークにならないほどの少量の虫歯菌では、歯を溶かしたとしても、再石灰化がすぐに働き脱灰が起きても修復されるため穴が開かないのです

□答え:ホント

参考 文・丸山 和弘(All About 虫歯) 2015.09.15

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