韓国→MERS広めたサムスン病院

韓国国内で最高の技術と設備を持つとされるサムスン・ソウル病院が、今回の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大では最も多くの感染者を出す最悪の病院となってしまったMERS患者は14日の時点で145人にまで増加しているが、そのうちサムスン・ソウル病院で直接・間接に感染した患者は72人に上る。サムスン・ソウル病院では治療を受けにやって来た外来患者はもちろん、建物の中を歩いただけの人まで感染していたのだ

韓国最高の病院とされるこのサムスン・ソウル病院だが、実はこの間に理解し難い出来事が次々と起こっていた14日に感染が確認された138人目の患者はこの病院に勤務する医師で、しかもこの病院の医師としては2人目の感染者だったところがこの医師は隔離対象に指定されないまま、つい最近までずっと外来患者の診察を行ってきた。この病院の救急病棟に勤務する137人目の患者も、2日からMERSの自覚症状が出ていたが、その後も10日まで9日間にわたり通常通りの勤務を行い、少なくとも76人の患者の対応に当たったこのように病院に勤務する人間の無自覚かつ無責任な行動が原因で、サムスン・ソウル病院を通じて感染した患者は京畿道富川市、始興市、竜仁市、大田広域市、忠清北道沃川郡、釜山広域市、慶尚北道浦項市、慶尚南道昌原市、全羅北道金堤市、全州市、全羅南道宝城郡、江原道原州市など、全国各地に広がっている。サムスン・ソウル病院は14日「24日まで病院を一部閉鎖し、新規の外来患者や入院患者は受け入れない。緊急を要する一部の患者以外は手術も全て中断する」と発表したが、それでも対応があまりに遅いと言わざるを得ない

通常であれば、病院の建物の中では一般の肺炎患者もマスクを着用するよう指導されるはずだ。ところがMERSの感染が拡大する中、サムスン・ソウル病院の救急病棟を訪れた14人目の患者は、マスクも着用しない状態で病院内を歩き回り、ウイルスをばらまいた。サムスン・ソウル病院はこの患者がやって来る1週間前の先月20日、韓国国内で初めてMERS感染者を確認したにもかかわらず、別の感染者が再び病院にやって来る事態は全く想定していなかったのだ。病院は今月7日になって救急病棟にやって来た患者とその家族675人、医療関係者218人の計893人を隔離あるいは観察対象とした。ところが12日までにサムスン・ソウル病院での感染が確認された60人のうち、25人はそのリストに名前もなかったその理由は、新たに感染が想定されるケースについて病院が「患者と2メートル以内の至近距離で接触した場合」と非常に限定的に設定したためだ

サムスン・ソウル病院で患者の搬送を担当していた137人目の患者の場合、患者を車いすなどに乗せて病院内の検査室や病室などに連れ回っていたことが後から分かったこんなことをしているようでは、病院内に安全といえる場所など全くなくなってしまうだろう結果的にこの搬送担当者は感染した状態で9日間にわたり通常の勤務を行い、それによって外来患者だけでも7万人以上が感染の危険にさらされたちなみにこの病院の院長は大韓感染学会理事長を経験し、現在もアジア太平洋感染研究財団の理事長を務めているが、これほどの権威者がいる病院で、ここまでずさんな管理が行われていたこともにわかに信じられない

国もサムスン・ソウル病院を何か聖域でもあるかのように対応し、問題を大きくしてしまった。保健福祉部(省に相当)の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官は2日「MERS患者が発生した病院に対しては、病院そのものあるいは病棟全体を隔離する」との方針を示した。この方針を受けソウル市内のメディヒル病院、大田市の建陽大学病院、テチョン病院は病院全体、あるいは一部の病棟が閉鎖、隔離された。ところが国はサムスン・ソウル病院に対してだけは独自の判断に委ねた2日にサムスン・ソウル病院の35歳のある医師がMERSに感染していた事実が確認されたが、これについても国は2日後にやっと公表した。サムスン・ソウル病院は全国の病院が加盟する大韓病院協会に支払う会費が全国で2番目に多いため、非常に強い発言権を持っている。この病院協会も「国民の間に広がる戸惑いや不安を解消しなければならない」とした上で、サムスン・ソウル病院を含むMERSを広めた病院リストを公表しようとしたがどういうわけか保健福祉部がこれに待ったをかけていた

伝染病が発生した場合、国は直ちに専門の担当者を現地に派遣して病院を管理下に置き、感染経路を調べ、外来患者や面会客の立ち入りを制限し、感染を拡大させる恐れのある人間は迅速に隔離しなければならないところが国はサムスン・ソウル病院に対してはどういうわけか完全に治外法権地域のように放置したそのためかサムスン・ソウル病院感染内科の科長という人物は国会で証言を行った際、反省するそぶりなどみじんもなく「(病院ではなく)国に問題がある」などと堂々とまくしたてたのだ

サムスングループは2011年に戦略企画室にいた担当者をサムスン・ソウル病院の支援総括社長に任命し、サムスン物産、第一企画、サムスンSDSなどの役員たちを数多く病院の幹部に据えた。またこの年の12月には「全ての仕事を完璧にやろうとすれば、逆に何もできなくなる」として、構造調整の一環として歯科を閉鎖したさらに医師1人当たりの売上高と利益率を調べるなど、効率性と収益を何よりも重視するサムスン式の経営スタイルをこの病院にも適用していた

サムスン・ソウル病院は病院の中で感染が確認された際、ウイルスに汚染されたとみられる区域を閉鎖し、感染が疑われる患者をあらかじめ隔離するといった迅速な対応を取らなかったしかも実際はそれどころか隔離対象者を最小限に想定し、また感染者が発生した事実をさほど深刻な問題とも認識していなかった。これら一連の行動パターンは、社会への影響よりも収益と効率をより重視する経営スタイルに基づくものと言わざるを得ない。このような考え方が結果的に国民の生命と安全を危険にさらしてしまい、国の医療システム全体を大きく揺るがしているのだサムスンはサムスン・ソウル病院のずさんな対応が原因でMERSの感染が拡大した事実に正面から向き合い、今後MERSを収束させるに当たってどのような役割を果たして社会に貢献できるか、グループ全体で一度じっくりと検討するべきだ

 

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