雪氷熱→データーセンターを冷房

新潟県の長岡市で「雪氷(せっぴょう)熱」を利用した省エネ型データセンターの建設プロジェクトが4月1日に始まった。長岡市は県の中部に位置する交通の要所で(図1)、新潟県内では降雪量が少ない地域だが、それでも冬には1メートル以上の積雪がある

 新設するデータセンターは雪を固めた大きな雪氷を冬のあいだに作っておいて、その冷気で夏の冷房を可能にする雪氷の下部から配管を通じて冷気を空調機に取り込み、大量のIT(情報技術)機器を設置したデータセンターの内部に供給する仕組みだ(図2)。冬には冷たい外気で冷房が可能なため、年間を通して電力を使わずに済む

medix1_sj.jpg図2 雪氷と外気を活用したデータセンターの空調システム(画像をクリックすると拡大)。出典:NCRI

こうした自然エネルギーを活用したデータセンターを「グリーン・エナジー・データセンター(GEDC)」と呼ぶ雪氷熱を利用した事例では、青森県の六ヶ所村(ろっかしょむら)で2015年12月に完成した「青い森クラウドベース」が有名だ(図3)。

medix5_sj.jpg図3 「青い森クラウドベース」のデータセンターの外観イメージ。出典:青い森クラウドベース

ユニークな社名の会社が運営するデータセンターで、雪氷熱によるGEDCのノウハウをもつNCRI社が建設を支援した。長岡市の新データセンターも同じNCRI社の技術を使った冷房システムを採用する

空調システムの排熱を植物工場に供給

大量の電力を消費するデータセンターでは、エネルギーの利用効率を表す指標としてPUE(Power Usage Effectiveness)を使う場合が多い。データセンターの消費電力をIT機器とそれ以外に分けて、全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値がPUEだ。従来型のデータセンターではIT機器の消費電力が全体の半分を占めて、PUEは2.0程度になるのが一般的である(図4)。

medix4_sj.jpg図4 「青い森クラウドベース」のエネルギー利用効率(画像をクリックすると拡大)。PUE=Power Usage Effectiveness(データセンター全体の消費電力÷IT機器の消費電力)。出典:青い森クラウドベース

高効率の空調システムを採用した最新型のデータセンターでは空調の消費電力が半分以下に減って、PUEは1.5くらいまで下がる。これに対して雪氷熱を利用した「青い森クラウドベース」の場合には空調の消費電力が5分の1程度で済み、PUEが1.2以下になることを想定している

長岡市の新データセンターでは雪氷と外気による冷房システムの効率をさらに高めて、PUEを理想の1.0(IT機器以外の消費電力ゼロ)に可能な限り近づける。一般的なデータセンターではランニングコストのうち35%程度を空調の電力に費やしている。雪氷熱を利用することでコストを削減できるうえに、CO2(二酸化炭素)の排出量を削減できるメリットも大きい

 加えてデータセンターから排出する暖気を植物工場に供給して、温室栽培も計画中だ(図5)。この構想を推進するために、GEDCの専門家や設備機器メーカー、植物工場の関連企業などを集めた研究会が4月1日に発足した

medix2_sj.jpg図5 雪氷熱による「グリーン・エナジー・データセンター」の構成例。出典:NCRI

新データセンターはインターネット広告会社のメディックスが中心になって設立した「データドック」が建設・運営する。2017年11月にデータセンターが完成する予定で、IT機器を収納するラック500本を備える。1ラックあたり最大で20kW(キロワット)、平均で10kWの電力を供給できる

スマートジャパン 2016.04.01

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