限界集落維持のコストを試算?

国土交通省が、限界集落を維持するためのコストについて具体的な検証を始めたという報道が話題になっています。これにはどのような背景があるのでしょうか。

日本は高齢化による人口減少が進んでいますが、この影響は都市部よりも地方において深刻となっています住民の半数以上が高齢者で占められ、存続が難しくなっている、いわゆる「限界集落」は全国で400カ所以上あるといわれています政府は地域の拠点に人口を集約し、効率的な地域運営を行う「コンパクトシティ」の形成について検討を進めていますが、どの程度集約化するのがベストなのかについては、なかなか最適な解が得られません

今回の調査は、人口の減少が深刻な状況となっている過疎地域において、集落を地域拠点に移転した場合と、そのままの状態で維持した場合を比較し、コスト面でどれだけの違いがあるのか具体的に検証することを目的としています

一般的に、集落を維持するためには、道路をはじめ、上下水道や電力といったハード面、ゴミ収集などの各種サービスといったソフト面のインフラを継続的に整備していく必要があります。また過疎の集落は農業を主な産業としているケースが多いですから、用排水路や倉庫など農業基盤の維持管理も必要となりますし、地域伝統行事の存続など、生活の質も無視できません。一方で、地域拠点に集約するという場合にも、移転費用を含め様々なコストがかかります

各地域に住む人の多くが、住み慣れた地域からの移転は望んでいません。最終的に集落を存続させた方がよいのか、地域拠点に集約した方がよいのかついては、両方のコストを正確に見極めた上で、住民の感情にも十分配慮した形で意思決定を行うことが必要でしょう。まずはもっとも重要な課題であるコストの部分について、しっかりとした分析を行うことは、意味のあることと考えられます。

ひとくちに限界集落といっても地域によって置かれている状況は様々です。今回の調査は、東北の4地区がモデルとなっていますが、東北地方は大規模な稲作農家も多く、地方の中では比較的大きな集落が多いことで知られています。一方、山間部が多い中国地方や四国地方は、小規模な集落が多く、高齢者の割合が高いという特徴が見られます。地域拠点への集約といっても、東北地方と中国・四国地方では、その進め方や規模も変わってくるわけです。こうした実態調査を各地域で行い、最終的には地域の実情にあったプランを策定するのが望ましいでしょう。その意味で、問題解決においてもっとも重要な役割を果たすべきなのは、中央政府ではなく各地域の自治体ということになります

参考 THE.PAGE 201501.20

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