適度な飲酒で認知症予防

世界で最も長生きしたフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんは、120歳の誕生日に認知機能が保たれていた。「長生きの秘訣はなんですか」という質問に、「病気にならないことだ!」と明快に答えたことで有名だ。

そんなカルマンさんが好きで最後まで止めなかった嗜好品が、チョコレート、ポートワインとタバコだった。お菓子好き、お酒好きの人やどうしてもタバコを止められない人にとっては勇気付けられる武勇伝のようなエピソードだが、果たして適度の飲酒は認知機能を保ち長生きすることにつながるのだろうか

これまでの先行研究では、適度の飲酒が心血管疾患の発症と死亡リスクを低下させることは数多く報告されているが、アルツハイマー病患者の飲酒が病気の進行と予後に与える影響に関しては報告がなかった

そんな中、デンマークのコペンハーゲン大学疫学部門のシネ・ベルントセン博士らの研究チームはデンマーク・アルツハイマー病介入研究に参加した321名のアルツハイマー病の患者を対象に、飲酒を含めた生活調査を行い3年間の追跡調査を行った

生活調査の結果、8%の患者は飲酒せず、71%が1日1ユニット(アルコールに換算して8g)以下、17%が1日に2~3ユニット、4%が1日に3ユニット以上の飲酒をしていた。追跡期間中に53名の患者が死亡したが、1日1ユニット以下飲酒する患者に比べて、1日に2?3ユニット飲酒する患者では死亡リスクが77%も低いことが分かった

飲酒しない患者と1日3ユニット以上飲酒する患者の死亡率は1日1ユニット以下飲酒する患者の死亡率と有意差がなかったベルントセン博士は適度の飲酒者はより豊かな社会ネットワークを持っていることが多く、単純にアルコールの保護効果だけではない点を強調する2~3ユニットはワインならグラス2~3杯、ビールなら350~500ml、日本酒なら半合強~1合未満という目安になる

■白澤卓二(しらさわ・たくじ)

産経新聞 2016.03.16

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