農産物が売れ大金が振り込まれ破綻する

農業をしていると、サラリーマンでは手にすることのないような金額が口座に振り込まれることがある。しかし、ここでお金の使い方を間違えると、その後の経営に大きな悪影響を及ぼすことになる。成功している人はどのようにお金を使っているのか。

● 使いどころを間違えない 金銭感覚が大事

成功している農業者は、手に入れたお金を自分の仕事に再投資し、仕事の生産性を上げています。しかし、うまくいかない人はそのお金を自分の欲望に使ってしまいます

「今までに振り込まれたことのないようなお金が通帳に入るから、金銭感覚がおかしくなるぞ。そのお金はいろいろな人から資材を買ったりしたお金だから、自分のものではないんだよ。まずは仕入れをした人に支払いをし、残ったお金は農業に必要なものを購入したり、不作のときの対策金として大切に使いなさい

最近、私は独立する人にこう注意をしています。

サラリーマン感覚でいる人が農業を始めて、それまでの給料の10倍以上のお金が通帳に入ってくると、急に大きな気持ちになり無駄遣いをしてしまうことがあるからです

長く農業の研修をして、やっと独立し、がんばって育てた野菜がお金になるのですから、うれしい気持ちになるのはわかります。だからといって、長期的な計画なしにご褒美と称し、最初から自分の趣味にお金を使ったり無駄遣いをしては、資材や肥料の代金も支払えなくなってしまいます

さらに経営上もっと深刻なことが起こります。

無駄遣いしたことで生じるマイナスを埋めている間、生産の効率化を図るための機械投資ができなくなるのです。効率化は進まず、規模を大きくすることも、労働生産性を上げることもできないわけです。そうなると、周り(仕入れ業者、金融機関、販売先、地主など)からの信用は失われます

本当に恐ろしいのは、この点です。経営の立て直しにはとても長い時間がかかります。

成功している人は、利益が出ても決して自分の欲望には使わず、それを翌年に使用する肥料代にしたり地代にしたりして蓄えています

● 5年で5倍の収入差になる

私たちの農場で最初に独立した山田広治君は、先輩農家の人たちの話を素直に聞いて、それを実行しました。その甲斐もあって、1年目から立派なレタスが収穫できたのです。

もちろん1年目からお金が残りました。そのお金で中古のトラックや肥料を買ったのです。

翌年、何が起きたでしょうか?

トラックを購入したことで作業がやりやすくなり、生産性が高まりました。収穫作業と管理作業を平行して行えるようになったことで、生産性は倍になりました。また、事前に肥料も半分購入していたので、その年の肥料代は少なくてすみました。

 その結果、天候被害にあっても持ちこたえられる経営体質になったのです。

とくに独立して間もない人にとっては、稼いだお金の使い方がとても大切です。どちらかというとお金の稼ぎ方よりも、お金の使い方のほうが難しいと感じることがしばしばあります

お金に余裕があったとき趣味に使ってしまったら、そのお金は一時の満足で消えてしまうだけです。たとえば1万円浪費したら、その1万円が増えることはありえません。しかし、独立したときの1万円は、その使い方で数年後の10万円に匹敵するほどの価値があります

ご褒美として使ってしまった人に比べて独立5年目の農業所得で見ると、およそ5倍以上は違ってくるでしょう。

このように、最初の段階でお金の使い方を間違えると、その後の経営スピードはまったく違う次元になってしまいます。そして、その後の個人所得でも大きな開きが出てくるのです

● お金が残ったとき何に使うかで その後の経営が決まる

このことは経営者だけでなく、社員として働く人にも共通します。

以前、とても一所懸命に働く人がいました。給料も相応の額をもらっていました。しかし、給料日が来ると、給料を持って夜の町に出かけてしまい、1週間以内に飲食代ですべて使い切ってしまったのです。

自分のお金でほしい物を買ったり使ったりするのは悪いことではありませんが、お金を趣味や遊びだけに使ってしまったらそれで終わりです。そのお金が増えることはありません

しかし、そのお金を自分のスキルアップのために使ったらどうでしょうか。そうする人には周りからよい仕事が与えられるようになります。やがて協力者も現れて当然よい成果がついてきます。そして必然的に給料も上がります

 がんばって結果を出す人には、よい場とよい給料が与えられるのです。チャンスは誰にでも平等であり、結果はその人の不断の努力によって公平に与えられるのが農業の世界です

そのチャンスは、自分の仕事を通じていろいろなことに興味を持ち、勉強している人なら気がつくことができます。しかし、お金を無駄に使う人はそのチャンスには気づきません。だから、チャンスが訪れないのです

農業法人で働く場合でも給料を自分の将来のために使う人と、一時の娯楽に使う人とでは、その後の人生にまったく違った結果がもたらされます

とくに経営者として独立する人なら、「入金されたお金は自分のものではない」という自覚を持つことです

本当に成功したかったら、「お金が残ったとき、何に使うかでその後の経営が決まる」ということを肝に銘じなければいけません

参考 ダイヤモンド・オンライン 2015.05.22

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