製紙や鉄鋼、売電事業強化

素材各社が相次ぎ売電事業を強化している再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の導入や電力小売りの自由化で販売機会が拡大しているのに加えて、人口減で本業の国内市場が縮小すると予想されることも取り組みを後押ししている紙や鉄といった素材は生産に大量の電力が必要で、各社は多くを自前でまかなってきた自家発電で培ったノウハウをいかし、新たな収益源に育てたい考えだ

素材の中でも売電に積極的なのが製紙業界だ最近は、木材チップなどの原料調達ノウハウを生かしつつ、木質バイオマス(生物資源)を使った発電に力を入れている

日本製紙は2018年3月、300億円弱をかけて石巻工場(宮城県石巻市)に近い保有地で発電能力14万9000キロワットの火力発電所を稼働させる石炭と木質バイオマスを燃料に使う仕組みで、来春にはタイの製紙大手とバイオマスの使用割合を高める新技術の実験にも乗り出す

昨年6月には、八代工場(熊本県八代市)でも5000キロワットの発電所を稼働させた。関連事業では直近で年百数十億円を売り上げているが中期的には500億円規模に増やす考え

バイオマス発電は王子ホールディングス(HD)も三菱製紙と3月に合弁会社を設立三菱製紙八戸工場(青森県八戸市)に約240億円をかけて7万5000キロワットの設備を導入し、2019年に稼働させる。FITを利用して年間5.3億キロワット時の電気を電力会社に販売、年間約110億円の売り上げを目指す

王子HDは北海道と静岡で水力発電所の改修も進める。電力事業の17年3月期の売上高(見通し)は211億円で、矢島進社長は「19年度には1.5倍程度に拡大したい」と話す。

製紙各社が売電に力を入れる背景には国内の紙需要が少子化やデジタル媒体の普及で減るなか、多角化を進め、新たな収益源を開拓する狙いもある

一方、売電は鉄鋼大手も強化している神戸製鉄所は、19~20年度に栃木県真岡市のアルミ板工場隣接地で125万キロワットのガス火力発電所、21~22年度に神戸製鉄所(神戸市灘区)の高炉跡地に130万キロワットの石炭火力発電所をそれぞれ建設

合計投資額は3000億円程度に達する見通しだが、「(電力は)長期電力供給契約を結ぶため鉄と違って市況変動の影響を受けにくい」として、鉄鋼、機械と並ぶ、経営の柱に育てる

鉄鋼大手では、新日鉄住金も電源開発(Jパワー)との合弁会社が20年の稼働を目指して鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)に石炭火力発電所を建設中だ

SankeiBiz2016.05.24

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