表にでないギャンブル依存症→女性の施設

パチンコ、マージャン、競馬など賭け事をやめたくてもやめられず生活に支障を来す「ギャンブル依存症」通所リハビリ施設「デイケアセンターぬじゅみ」(横浜市)は、家族が世間体をおもんぱかって隠すなど表面化しにくい依存症の女性を支えてきた。田上啓子施設長(66)は「女性の依存症対策にも目を向けて」と話している。(寺田理恵)

◆嘘と借金を重ねる

「3年前に初めて来たとき、施設長が『よく生きていたね』と言いながら握手してくれた。母親を苦しめているという罪悪感で自分を責めていたので、涙が出た」

依存症から回復して1年という女性(43)はこう話す。パチンコとパチスロに注ぎ込むお金を得るため売春もした。「どうにかしたい」という思いでぬじゅみを訪れた日から、賭け事をやめたが、当初は毎日、泣いていたという

「嫌な思いをして体を売ったのに、それでお金を手にするとパチンコに行ってしまう。そんな体験は女性の中でしか安心して話せない」と振り返る

ぬじゅみは、全国初のギャンブル依存症の女性専用施設として平成19年4月に開設、24年から横浜市の補助と寄付金で運営され、15人が登録している回復プログラムは、依存症の仲間が互いに体験を話し合うミーティングが中心無料で提供され、登録者は規則的に通うことで健康的な生活習慣を取り戻し、人との関わり方を修復する

田上施設長は「依存症者は、賭け事を続けるためのお金が一番と考えている。借金をしても勝って返せばいいと思っているので、肩代わりしてもらっても問題は解決しない。大事なのはまず命、住まい、食べ物、人との関わり。お金は最後だと考えを180度変える必要がある」と指摘する

 女性に限っているのは、つらい体験を男性の目を気にせずに話せる場とするためだ女性の依存症者は、賭け事を続けるため家族に嘘をついて出掛け、家事や育児に支障を来す。家のお金を使い込み、借金を重ねて人間関係がうまくいかなくなり、離婚に至る事例もある。家族を巻き込んだ罪悪感に苦しんだり、家族が世間体から隠したりで早期の治療につながりにくく40歳頃で表面化する事例が多いという

◆離婚や自殺未遂

田上施設長自身も、ギャンブル依存症から回復した一人だ。32歳のとき、「夫がするなら自分も」と賭け事を始めた。最初は見ているだけだったが、勝てば換金できると分かるとのめり込んだ。やめられず、周りから「意志が弱い」と説教され、自分に「ダメ人間」の烙印(らくいん)を押した。離婚や自殺未遂も経験した

やめ方を教えてくれるところがなく10年も苦しみ、出合ったのがアルコール依存症のプログラム。依存症の仲間の話を聞くうち、自分が「何百万円使っても、もっとやりたくなる」という状態だと気づいた

回復施設や自助グループでは利用者のほとんどが男性だったため女性のための施設が必要だと、ぬじゅみを立ち上げた。今では全国から問い合わせがあるという

ぬじゅみでは、回復した女性がスタッフとなって依存症者を支える側に回る。「依存症は回復できると、経験を次の人に伝えるのが約束事。だからギャンブルをやめていられる」と田上施設長は話している

参考産経新聞 2015.06.03

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