良くならないのが分かっているほうが幸せ

さとり世代の研究者・古市憲寿氏

 東京大学大学院総合文化研究科博士課程の古市憲寿氏(31)は、日本で「同世代を語る若い知識人」と呼ばれる。 26歳だった2011年に書いた本『絶望の国の幸福な若者たち』で、彼は長期不況・低成長時代を生きる日本の若者を「さとり世代」と呼んださとり世代は親世代よりも物質的な成功にこだわらない欲望を膨らますことなく、現在の状況に満足し、幸せを感じる。古市氏は、彼らが幸せな理由を「良くならないという確信があるから」と挑発的に分析した。逆説的なこの本は、日本だけで20万部が、韓国でも8000部が売れた。未来社会にも関心を持っている彼は最近、少子化問題を解決するためには、子育て支援が必要であるという内容の『保育園義務教育化』を出版した

先月14日、東京都品川区のホテルで、ハンギョレのインタビューに応じた古市氏は、韓国の「N放世代(すべてを放棄した世代)」と日本の「さとり世代」は異なると定義した韓国の若者たちが希望がない時代に、どこにあるかも知らない希望を追い求める「希望難民」状態であるのに対し日本の若者たちは不安な幸せを信じて、それなりに現実と折り合いを付けながら生きていくと説明した絶望の国に住んでいる日本と韓国の若者のうち、どちらがより幸せだと言えるだろうか

– 韓国では「匙階級論」が広がっている。

日本では団塊の世代(1947~1949年生まれ)とその子供世代がすでに中流階級を形成した国民皆が平等に豊かだった韓国のように激しい格差論はない。格差社会なのだけど格差を大きく感じていない

金持ちの団塊世代と貧乏のさとり世代との間で、軋轢はないのか?

怒りはない。むしろ、さとり世代は団塊の世代に『お金をたくさん稼いでくれて、ありがとう』という。ただし、2000年代半ば以降、社会の二極化が進んだ十数年がすぎた今、徐々に問題が現れている。豊かな団塊の世代がいなくなると、新たな社会インフラが支援できなくなる恐れがある

– 将来、日本社会がさらに直面する社会問題には何があるか。

結婚せず、親と一緒に暮らす『パラサイト・シングル』の問題が深刻だお金のない子供は、親のそばを離れられない。人気漫画『東京タラレバ娘』は、2020年の東京オリンピックを誰と見るかを悩みながらも、結婚はしない30代女性の話だ。恋愛や結婚を描く番組は多いが、結婚しない若者が増えた2030年には生涯結婚しない非婚者が4分の1になるとされる少子化と関係がある

– 日本の若者の政治参加は?

日本は基本的に政治に無関心だ政治が変わると、人生が変わるという期待はしない若者の投票率を上げても、高齢人口があまりにも多く、政治に直接反映されにくい構造的な問題もある韓国も似たような状況だと聞いている

– 日本の若者たちは本当に幸せなのか?

「日本の保守メディアは、私の本を見て『若者たちが幸せだから、日本には未来がある』というふうに解釈した。既成世代は、自分たちを慰めるために読み違えることがある。私は幸せになれない状況から、幸せを見つける青年の矛盾した感情、感情の不均衡の中に潜む社会問題に、より注目したかった」

東京/チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

参考 ハンギョレ新聞  2016.01.23

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