自動車燃料→下水汚泥を有効活用

 国土交通省が、下水道の汚泥から発生するバイオガスから水素を作り、燃料電池自動車(FCV)の燃料にする取り組みを進めている。水素と酸素の化学反応で発電する電気で動き、水しか出さない「究極のエコカー」と呼ばれるFCV。そのエネルギーに、廃棄物である下水汚泥を有効活用できれば、FCVの普及につながるとして、全国の自治体も注目している。

バイオガスは下水汚泥を微生物の働きで処理する過程で発生する既に発電などにも利用されているが、小規模な施設では発電の設備が設置できないなどの理由で、国内で発生するバイオガスの全体量のうち3分の1は焼却する形で廃棄されているという

国交省によると、廃棄されているバイオガスの量は8900万立方メートルで、仮に有効活用できれば年間1.3億立方メートルの水素が生成できると試算している。FCV1台の1回当たりの水素充填(じゅうてん)量を50立方メートルとすると、約270万回分に上る

国交省は2014~15年度に、福岡市中部水処理センター(福岡市中央区)で実証実験を実施。(1)下水汚泥を発酵させて発生したバイオガスから二酸化炭素を除去し、高濃度メタンガスを回収(2)メタンガスと水蒸気を反応させ水素を作る(3)吸着剤で残っている二酸化炭素をさらに除去する--という手順で、高純度の水素を生成1日にFCV65台前後の燃料になる3300立方メートルの水素を作り出した

こうした取り組みに着目した埼玉県、横浜市、青森県弘前市が事業化に向けた検討を始めており、それ以外の複数の自治体も関心を寄せているという。

下水汚泥の活用は、他の分野でも始まっている。佐賀市は汚泥を高温発酵して堆肥(たいひ)として活用している汚泥から発生したバイオガスを燃料に発電する「バイオガス発電」は北海道や横浜市、広島県など55カ所が実施(13年度現在)しており、国交省下水道企画課の担当者は「下水汚泥は重要な国産エネルギー源。活用を加速させたい」としている。【曽田拓】

毎日新聞2016.04.09

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