腸内の細菌バランスを把握しよう

今年9月、アメリカの医学誌『サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)』に、ぜんそくになるリスクが高い子どもは、生後数か月の段階で、一部の重要な腸内細菌が不足している可能性があるという研究結果が発表されました。この研究では、ぜんそくに対する免疫系に関連している可能性のある腸内細菌4種類も初めて特定されたとのことですがこれらの腸内細菌を新生児がどのようにして獲得するのかはいまだ不明とのこと。腸内細菌と子どもの発育の関係については、自閉症児の腸内細菌の種類が、そうでない子どもに比べて極めて乏しいという報告もあり、昨年には『ナショナル・ジオグラフィック』に腸内細菌と脳の関係についての研究結果が掲載されました
こうした報告を見ると、腸内細菌はただ「お腹の調子を整える」ためだけのものではないといえそうです

◆腸内フローラとは?

近年、ビフィズス菌や乳酸菌をはじめとするプロバイオティクス(人間の健康にとってよい働きをする生きた微生物)が注目されていることなどから、腸内フローラという言葉をよく聞くようになりました私たち人間の腸内には、100種類以上・100兆個にも及ぶ細菌が存在するといわれていますが、腸内に壁面をつくって生息しているこれら多種多様な腸内菌の状態を「腸内細菌叢(=腸内フローラ)」と呼びます
冒頭に述べた例だけでなく、最近では腸内フローラが、がんなどの免疫系の病気からアレルギー疾患、糖尿病などの生活習慣病やうつ病などの心の病にまで関係していることを指摘する報告もあります

◆年齢とともに悪玉菌が増える?

腸内には大きく分けて善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類の細菌が存在しており、これらのバランスが腸内環境を左右するといわれています。簡単にいうと、すこしでも善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことが、腸内環境を健康に保つためには望ましいということになりますが、実はこの3種類の細菌の割合は年齢によっても変化するそうです
通常、乳幼児の腸内フローラにおいては90%以上を善玉菌であるビフィズス菌が占めていますが、成人になり年齢を重ねるにつれて、ビフィズス菌の割合は減少し、かわりに「悪玉菌の代表」といわれるウェルシュ菌が急増してくるといわれています。このウェルシュ菌は食中毒の原因菌のひとつであり、「おなら」などの臭いにおいのもとになる菌でもあります

◆トイレを流す前に…

こうした悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やすためには、砂糖や油、脂肪の多い食事を控え、食物繊維の豊富な根菜類や、オリゴ糖、発酵食品を摂るように心がけるのが効果的といわれています。また、腸内環境の状態を知るためには、自分の便が健康であるかどうかをチェックすることも大切。腸が健康な人の便は、黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くないのに対し、腸内細菌のバランスが悪くなっている人の便は、黒っぽく、とくに匂いが臭い(悪臭がある)といわれています
心身の健康を左右する腸内細菌の状態を把握するためには、まずはトイレでの日々のチェックが手軽で簡単な方法でしょう。

参考 Mocosuku Woman 2015.10.30

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