腸を休めると、アンチエイジングに効果

皆さん、筋肉といえば、どういう働きを思い浮かべるでしょうか。重いものを持ち上げる、速く走る、ラケットを振る、ゴルフボールを打つ、歩く等々。運動機能に関係した機能がまず浮かびますよね。

でも実は運動をしていない時でも心臓を動かすのに心筋、呼吸をするのに呼吸筋というように複数の筋肉が働いています。伸びたり収縮したりと、いわば力仕事をこなす働き者の労働者という印象でしょうか

ところが最近では、運動機能に関係する骨格筋に内分泌作用があることが分かってきました分泌されるものをまとめてマイオカインと呼び、その中には若返りに関わる因子も含まれています運動はアンチエイジングに効果があることがこの点からもわかります

このほか、血管内皮や脂肪細胞にも「本業」のほかの別の顔があるのが分かってきました。

血管内皮は血管の内側で血管の収縮や弛緩に重要な役割を果たしていますが、ほかにもNO(一酸化窒素)を産出し、血管の動脈硬化を予防しているのです脂肪細胞はエネルギー貯蔵が主な働きですが、レプチンやレジスチン等多くの物質を分泌し脳を含む他の器官に働きかけています

脂肪細胞はエネルギー貯蔵が主な働きですが、実はアディポサイトカインと呼ばれる様々な物質を分泌していますアディポサイトカインにはインスリン抵抗性を上昇させるレジスチン、動脈硬化を促進するTNF-αなどがあり、肥満がアンチエイジングの妨げとなる一因となっています

今回のテーマである「腸(小腸)」は消化吸収の器官と習ったのではないでしょうかところが最近は「免疫の臓器」として大きなスポットライトが当たってきました。人の免疫力の半分は腸が担っているのです

口から食道を通り、胃で胃液と混ざりドロドロの状態になった食べ物は、小腸の一部である十二指腸で胆汁やすい液と混ざり、さらに小腸から分泌される消化酵素によって、アミノ酸、グリセリド、脂肪酸などに消化され、腸管の収縮や弛緩の繰り返しによって移動し、腸粘膜から吸収されるのです。吸収するというのは体内に取り入れることであり、食べ物に病原体のような異物が含まれていれば、身体にとって害のあるものが入りこむ危険があるのです。そこで発達したのが防御的メカニズムです

病原体のような外敵を感知すると、情報が伝わり、指令を受けた戦う免疫細胞が出動し、外敵を排除すべく戦います。敵か味方かを判断するのは相当高度な判断が必要なのですが、体内の複雑なメカニズムによってそれが行われていると最近の研究で明らかにされてきました

分かりやすい例を上げますと、病原菌が増えている腐りかけた食べ物を食べると速やかに異物を体外に出すべく指令が下って下痢がおこり、さらに発熱して働きやすくなった免疫細胞が出動して細菌を殺していきます

小腸には免疫細胞が集中しているため、ガンの発生頻度が低いと言われているくらいです(ただしゼロではなく、また小腸ガンは見つかりにくいガンのため発見が遅れて手遅れになることもあります)。

小腸は人の免疫細胞の半分以上が集まっている一大基地と考えると分かりやすいでしょうここを基地として免疫細胞が身体の中に出動していくのです。腸を元気にして免疫力を保つことは健康寿命の上でも大切なことです

腸を元気にするのに有効なのがプロバイオティクス、乳酸菌やビフィズス菌、ガゼイ菌等々の善玉菌の力を借りて腸内環境を整えることです。ただし、どの菌がいいのかは人によって腸の細菌叢(さいきんそう)に違いがあるため一概には言えません。市販のヨーグルトを見ても実にいろいろな菌がありますよね。どれが自分に合うかは試してみるほかありません。

もうひとつ有効なのが食事制限で腸を休めることです。

3~4日間、通常の半分から3分の1の摂取カロリーに抑え、固形物は摂らず、お粥やスープ(具の野菜や魚等もフードプロセッサーで液状にする)、ジュース(野菜や果物はミキサーで液状にする)、スムージー、ミルクセーキなどを食するものです免疫力やデトックス力を高めるのに効果があります。また、ガン細胞やウィルス感染細胞を攻撃すると話題になったNK細胞(ナチュラルキラー細胞)がメディカル断食によって増えることも示唆されています

さらに栄養の吸収に大きな役割を果たす小腸の粘膜上皮の幹細胞はカロリー制限で若返ることが分かっています腸の働きにはこの他、腸内細菌の一部が肥満に関係したり、動脈硬化の悪化や抑制に関与したりと、免疫と関わりの深い病態が明らかになりつつあります

腸が元気であることはアンチエイジングの観点からもとても重要なのです暴飲暴食を避けるとともに、プロバイオティクス等で腸内環境を整えること、また腸はストレスに敏感な内臓ですので、ストレスをため込まないように気を配ることも大事です

今回のメディカルトピックスは大変短めですが、「怒りの2時間以内に心血管障害のハイリスクが生じる」という研究です。怒りはほどほどに収めるのが身のため、人のためでありましょう

参考 ダイヤモンド・オンライン  2014.07.30

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