胸焼け→食道・胃接合部がんに注意

逆流性食道炎(胃食道逆流症)の患者数が増え続けているが、もしこの病気があるなら、食道と胃の境目にある「食道・胃接合部がん」についても知っていた方がいい逆流性食道炎がリスク要因になるからだ。東京大学医学部付属病院胃食道外科の瀬戸泰之教授に聞いた。

解剖学的には喉と胃袋をつなぐ食道は胸の中にあり、胃はお腹の中にある
食道がある胸の中は陰圧で、胃があるお腹の中は圧が高め。食道の粘膜は扁平上皮と呼ばれ、胃は円柱上皮。食道は筒状だが、胃は袋状になっている。

「つまり、食道と胃は環境や組織の構造が全く違います2つの臓器の境界線には、胃の内容物が逆流しないための“関所”の噴門があります。噴門の辺りの組織は、食道でも胃でもなく、ここにできるがんは通常の食道がんや胃がんとは違うのではないかという議論が昔からありました。最近、境界領域のがんが増えてきて、あらためて脚光を浴びるようになったのです

これまでは、名称や治療法がバラバラだった。食道を専門に診ている医師は、食道がんの一種とみなし、食道と胸部のリンパ節を切除する。一方、胃を専門に診ている医師は、胃がんの一種とみなし、胃を全摘する。近年、それらの統一化を目的とした動きが出てきている。

まず、食道と胃の境界線から上下2センチのがんを「食道・胃接合部がん」と称することが定着しつつある
次に、治療法が食道あるいは胃に偏らないように、日本食道学会と日本胃癌学会が全国調査を実施した。273施設で過去10年間に手術を受けた3000例以上を分析したのだ。

「その結果、食道・胃接合部がんでは、直径4センチまでの大きくないものであれば、胃全摘は必要ないとわかりました。これまで胃全摘になっていたのは、がんが胃の一部であっても、“大きめに切除する”“リンパ節転移を防ぐためにリンパ節も切除する”ということが一般的だったからです。しかし、今回の調査で、そこまでしなくても、転移は起こりにくいと判明したのです。昨年8月には、ガイドラインに暫定的に明記されています」

■肥満、早食い、深夜の飲食はリスク大

食道に関しては、現在行っている“胸部のリンパ節切除”まで必要か、手術の範囲をどこまで小さくできるかなど、結果が出るところまで至っていない。研究結果が出るのは、まだ数年先だろうとみられている

この食道・胃接合部がんは、冒頭で触れたように、逆流性食道炎がリスクを高める

「逆流性食道炎は胃酸の逆流を起こす病気です。食道と胃の境界線の粘膜が何度も胃酸にさらされ、粘膜が変性し、がんが起こしやすくなる。もし、逆流性食道炎があるなら、その治療を受けると同時に、年1回は内視鏡検査を受けた方がいい。逆流性食道炎と診断されていない人は、胸焼け・胃のむかつきに要注意です。市販薬で胸焼けを抑えていても、胃酸逆流が起こらなくなるわけではないので、安心してはいけません」

肥満、早食い、深夜によく食べる、という人は逆流性食道炎を起こしやすい。特に気を付けよう

参考 日刊ゲンダイ 2015.01.27

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