肉食シニア増加中→健康と長寿のカギ

肉好きの高齢者が増えている

立ち食いステーキ、300グラム注文の65歳男性「肉は毎日食べる」

東京・浅草界隈。日曜日の昼、立ち食いステーキ店「いきなり!ステーキ」には若者だけでなく高齢者の姿が目立っていた。夫婦で来た65歳の男性はリブロース(背中の厚みのある部分)300グラムを注文。立ったままステーキを切り、ウイスキーの炭酸割りを飲みながら口に運んだ。「肉は毎日食べる。ダイエットや健康のため糖質をとらず肉、魚、野菜をしっかりとるようにしている」と話した。

肉食シニア、長寿の秘訣 「魚も大事」が日本流〔2015年5月17日付 日本経済新聞〕

60~69歳の1日の肉類摂取量は10年前から増加、男女とも約8割が肉料理を「好き」と回答

厚生労働省の平成25年の調査によれば、60~69歳の1日の肉類摂取量(平均値)は77グラムで、10年前の57グラムから増加。40~60代の男女2700人に「肉料理が好きか」を尋ねた博報堂新しい大人文化研究所の24年の調査でも、60代の男性の86・0%、女性の78・7%が肉料理を「好き」と答えた

「肉こそパワーの源」長寿のカギにぎる肉食シニア 鬱や自殺予防にも効果が…

60歳以上の高齢者はステーキ半額!キャンペーンも続々》

吉野家ホールディングス傘下で「ステーキのどん」などを運営するアークミールは60歳以上の高齢者はステーキが半額となる「肉食シニア応援キャンペーン」を始めた。老化予防のため、動物性たんぱく質を積極的に取る高齢者が増えていることから、シニア向け販促で顧客層を広げる。

「祖父母と一緒に肉」ツイッターで話題にも

日本経済新聞の調査によると、ツイッターでは、祖父母と一緒に肉を食べる話題が多数つぶやかれていたという。1月~5月の内容を調べたところ、「これからじいちゃんばあちゃんたちと焼き肉食べに行きまーす」「祖父母の家で一切れ1千円のヒレ肉ステーキ」といったつぶやきが多く、「昨夜は102歳のおばあちゃんの『お肉が食べたい!』のリクエスト」でステーキ店に行ったことを紹介する内容もあった。

「おじいちゃん達と食べに行った」

「右おばあちゃんが食べるステーキ 」

「焼肉なう」

「肉食シニア」増加の背景に

バブル世代、さまざまな食経験で肉料理も抵抗なし

肉好きの高齢者が増えている背景について、日本元気シニア総研・研究委員で栄養士の藤原隆子氏は、「今の60代はバブルを経験している世代。さまざまな食経験があり、ブランド牛など高級な肉も若いころから食べてきた人が多い。肉料理を普段の食事の中に抵抗なく取り入れており、外食でも肉を好んで食べている」と指摘。

欧米化が進んだ

底流には戦後世代の高齢化もある。博報堂新しい大人文化研究所の阪本節郎・統括プロデューサーは「戦後世代の食生活は学校給食によって欧米化が進んだ」と指摘する。学校給食法の施行は1954年。パンや乳製品が普及。魚も肉も両方大事だという意識も根づいた。当時の小中学生はいま60~70歳代。50年代に国内放送が始まった米テレビ番組でステーキやハンバーガーを知った世代でもある

肉食シニア、長寿の秘訣 「魚も大事」が日本流〔2015年5月17日付 日本経済新聞〕

高齢者の健康維持にも貢献、老化予防に役立つとして注目集める

肉を食べる習慣は、高齢者の健康維持にも大きく貢献している。「もともと高齢者は加齢に伴って食が細くなりがち。低栄養状態にも陥りやすい。栄養不足の状態が続くと、細菌やウイルスに対する抵抗力が衰えたり、血管の壁がもろくなったりと老化が進行する認知機能が低下しやすいことも分かってきている」と藤原氏(前出)。こうした老化予防に役立つとして注目を集めるのが肉だという

長寿のカギをにぎる「肉食」

桜美林大名誉・特任教授「健康に長生きするためには欠かせない」

桜美林大名誉・特任教授(老年学)の柴田博氏も、「肉をしっかり食べることは、健康に長生きするためには欠かせない」と話す。

「肉こそパワーの源」長寿のカギにぎる肉食シニア 鬱や自殺予防にも効果が…

良質なタンパク質、食べることで幸福感をもたらすアナンダマイド

肉からは良質なタンパク質を取ることができるといい、ほかにも脂肪を燃焼させてエネルギー源とする「カルニチン」▽食べることで幸福感をもたらす「アナンダマイド」▽鬱や自殺予防に効果があるとされる「トリプトファン」-といった心身の健康維持に必要な成分も多く含まれる。鉄分も多いという。

「肉こそパワーの源」長寿のカギにぎる肉食シニア 鬱や自殺予防にも効果が…

平均寿命の世界一にも寄与

柴田氏(前出)によると、植物性食品に偏っていた日本人の食事は昭和40年ごろからコメが減り、肉や牛乳などの動物性食品の摂取量が増える「食の欧米化」が進行した全タンパク質に対する動物性タンパク質の割合が50%を超えた50年代半ば以降、日本は初めて平均寿命の世界一となったという

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《「人を幸せにする」アナンダマイド》

別名「至福物質」とも呼ばれ、幸福感や高揚感をもたらすことが知られている。牛肉や豚肉の脂肪には必須脂肪酸の1つであるアラキドン酸が含まれており、アラキドン酸の一部は脳内で「アナンダマイド」に変化。このメカニズムによって、私たちは肉を食べたときに「幸せだなあ」と感じる。アナンダマイドには、リラックス効果や記憶力増進など、心身にさまざまな良好な効果をもたらす可能性があるともいわれており、今後の研究が期待されている。

肉を食べてハッピーに!〔エバラ食品〕

《「うつ病を防ぐ」トリプトファン》

うつ病は、神経伝達物質のセロトニンと大きなかかわりがあるといわれており、セロトニンは脳内神経伝達物質の1つで、精神を安定させる働きがある。このセロトニンの原料となるのが、必須アミノ酸の1つであるトリプトファン。トリプトファンは肉に多く含まれている必須アミノ酸うつ病を予防するためには、肉などの良質なタンパク質を摂取してトリプトファンを十分に補うことが重要とされる

セロトニンで老人性うつ病を防ぐ〔エバラ食品〕

《動物性タンパク質の効果》

肉などに含まれる動物性タンパク質は、筋肉や血液を作るだけでなく、骨を作るメカニズムを促進しホルモンのバランスを整える効果もある。また、血管をしなやかにして脳血管疾患を予防し、感染症に対する免疫力を高める作用もある

日本が長寿国になった要因の1つに、動物性タンパク質の摂取量が増えたことも挙げられる

長寿への道は肉から〔エバラ食品〕

肉食で防げ…高齢者の5人に1人が 「新型栄養失調」の現実

認知症や寝たきりを引き起こしやすく、寿命を縮める可能性も

一見、健康な高齢者の間で、深刻な事態が進行している。70歳以上の5人に1人が、栄養が不足している、いわゆる栄養失調だという。最新の調査では、高齢者の栄養失調は、認知症や寝たきりを引き起こしやすく、寿命を縮める可能性も高いことが分かってきた

高齢者こそ肉を?!〔2013年11月12日放送 クローズアップ現代〕

いきすぎた粗食は「新型栄養失調」のもとに

長年、高齢者の食べ物を中心に長寿と栄養の側面から研究している人間総合科学大学の熊谷修教授(高齢者栄養学)は、病院などで指導されている「粗食」は、「動物性タンパク質や脂質が不足する『新型栄養失調』を引き起こす」と、警鐘を鳴らしている

粗食は「新型栄養失調」の原因? 肉食高齢者増加〔2014年1月17日 dot.〕

老化を遅らせるためには肉を食べ、筋肉や骨の材料となるタンパク質をたえず補給していくことが重要

熊谷教授(前出)は、「肉をしっかりきちんと食べることは長寿の秘訣」とし、「老化とは身体の中からタンパク質が抜けて、乾いて、縮んで、ゆがむ変化のことを言う。老化を遅らせるためには、筋肉や骨の材料となるタンパク質を身体に取り込み、たえず補給していくことが欠かせない」と話す

粗食は「新型栄養失調」の原因? 肉食高齢者増加〔2014年1月17日 dot.〕

「魚や乳製品、豆類からもバランスよく摂取することが大切」

ただ、「肉だけで済ませず、魚や乳製品、豆類からもバランスよく摂取することが大切」と指摘するのは、大阪国際大学短期大学部講師の大原栄二氏(臨床栄養学)。肉を食べることは良いとしながらも、「肉だけに頼りすぎると、腎臓に負担がかかってしまう」と注意を促す

参考 iza  2015.10.23

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