肉や脂っこいもの→元気で長生き

それでは具体的に、動物性たんぱく質と油脂類を摂ることが健康維持・向上にどのような効果をもたらすのでしょうか。「余命」「体力」「認知機能」の3つの観点から、いくつかの研究結果もまじえてお話ししましょう。

余命
ある地域における70歳の高齢者の集団について10年間調査し、食習慣と余命の関係を分析した研究結果があります。※1調査を開始したのは昭和51年で、戦後の大きな食生活の変化がひと段落した時期です。この結果によると、油脂類と牛乳をコンスタントに摂る人ほど余命が長いことがわかりました
また、私が携わった研究に、ある地域における高齢世代600名余りを2年間調査し、どのような食生活をすれば余暇活動や創作などの日常生活を楽しむのに必要な生活機能(知的かつ能動的に活動するために必要な心身の機能のこと)を低下させずにすむかを解明したものがあります。この調査では、「日ごろ植物性食品をよく食べる群」「肉類・牛乳・油脂類をよく食べる群」「ごはん・みそ汁・漬物をよく食べる群」に分けて、生活機能が低下する危険率を算出しました。その結果、図4にあるとおり、肉類や牛乳などの動物性たんぱく質食品と油脂類を摂る人ほど危険率が低くなる、ということがわかったのです。

<図4>

高次生活機能「知的能動性」の低下と食品摂取頻度パタンの関連

高次生活機能「知的能動性」の低下と食品摂取頻度パタンの関連

図4 高次生活機能「知的能動性」の低下と食品摂取頻度パタンの関連
調整変数:性、年齢、学歴、ベースラインの「知的能動性」能力
熊谷 修他 老年社会科学、16.1995

体力
これについては体力と血清アルブミン値との関連を調査した研究があります。血清アルブミンは、先ほども申し上げた通り、体の栄養状態をあらわす指標の一つであり、老化による生活機能の衰えや余命に影響する因子の一つといえます
平均71歳の自立高齢者(介護を必要とせず日常生活ができる高齢世代)約300人を、8年間にわたり調査し、体力の指標の一つである最大歩行速度の変化を一人ひとり記録していきました。そして、その変化に関連する要因を分析したのです。
その結果、最大歩行速度はどの人も加齢にともなって低下していきますが血清アルブミン値の低い人ほど下がり幅が大きいことがわかったのです。このことから、体の栄養状態を良好に保てば、加齢にともなう体力の低下を最小限に抑えることができる、ということがいえます

<図5>

血清アルブミン水準と最大歩行速度の低下の関係

血清アルブミン水準と最大歩行速度の低下の関係

【N村研究】観察期間8年(1992~2000年)
【調査変数】年齢、生活機能の自立度、ベースラインの最大歩行速度、運動習慣、
肥満度、体の痛み

認知機能
高齢世代の認知機能と深く関わっている栄養素は「ビタミンB群」特にビタミンB6、B12、および葉酸が不足すると、認知機能が低下しやすいということがわかっています。※2 これには血中ホモシステインという成分が関係していますホモシステインとはアミノ酸の一種で、加齢にともない増加し、認知機能の低下に働きかけるほか、心筋梗塞や脳血管障害のリスク要因としても知られています。※3つまり、認知機能を損ねないためにはホモシステインをスムーズに分解・排泄し、体内に高濃度で残さないことが大切ですが、その分解や排泄を行うにはビタミンB群が欠かせないのです欧米では、ビタミンB群の摂取量を増やして、認知機能の改善をはかる研究が始まっています。※4
ビタミンB群は特に肉や魚、レバーなどの内臓などに多く含まれていますつまり認知機能を保つためには動物性たんぱく質を十分に摂ることが大切であるといえるのです

参考 ?

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