職場の雑談苦手→成人後の障害とは

脳の機能に偏りがあり、コミュニケーションなどに問題が起こりやすい発達障害幼少期に見過ごされ、大人になってから職場などで「生きづらさ」を感じて気づくケースが増えているという最近は大人の発達障害専門外来も出てきた専門家は「治療をしたり、周囲とのコミュニケーションの方法を学んだりすることで、状況の改善は可能。悩んでいる人は医療機関に相談を」と呼びかけている。(油原聡子)

鬱や引きこもりも

東京都の男性会社員(47)は、コンピューターのシステム開発の仕事をしていたが、総務部門に異動したことをきっかけに鬱気味になった

「物事の優先順位が付けられないので、複数の仕事を同時にこなす総務の仕事が向いていなかった」と振り返る。

 通院したところ、多岐にわたる発達障害の中でも特に生活上の支障をきたしやすい「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」の傾向があると診断された落ち着きがなく、気が散りやすいなどの特徴がある

発達障害は生まれつき脳の機能に障害があるために起きると考えられているこの男性のように発達障害によるトラブルからストレスをためて鬱になったり、引きこもりになったりすることも多いという

ただ、ADHDには治療薬がある脳内の神経伝達物質に働きかけ、物事の優先順位を付けて段取りを組む能力などが改善し、患者の6~7割に効果があるという

しかし、他の発達障害については治療薬がまだなく、大人の発達障害を正しく診断できる医療機関は多くはないのが現状だ

幼少期は見過ごされやすい

昭和大学の発達障害医療研究所、加藤進昌所長は「子供の頃から症状はあるが、親ら周囲がカバーするなどしてトラブルにならない場合は、見過ごされてしまうこともある」と、発達障害全般についてこう指摘する。大人になって人間関係が複雑になったり、就職や結婚で環境が変化したりする際、適応できずに社会生活に支障をきたし、受診に至るケースが多いという

同大烏山病院(東京都世田谷区)は平成20年に発達障害外来を設置。初診患者の累計は4000人を超える。加藤所長は、人との意思疎通や交流が難しい「自閉症スペクトラム障害(ASD)」について、「70~80人に1人の割合とされる。大人になって分かった場合でも、治療により症状を改善させたり、コミュニケーションの方法を学んで生きづらさを解消したりできる」と話す

■「居場所」作りにも

雑談が苦手です」「他人に関心が持てない

同病院で昨年11月、30~50代を中心とした発達障害の患者約20人が、日常生活の悩みを話し合った

ここでは発達障害の患者を対象に、独自のプログラムに基づくデイケアを開いている。この日は、自分たちが困っていることを出し合い、それぞれが生活上の工夫を発表した。「会話が続かない」という男性患者の悩みには、別の患者が「雑談のためにスポーツや天気の話を用意してみては」と提案した。

全20回のプログラムを通じ、患者は感情をコントロールする方法や会話の続け方などを学ぶ。他の医療機関も参加して、プログラムの効果を検証したところ、自閉症の症状の軽減などに効果があることが分かった

同病院臨床心理士の横井英樹さんは「デイケアでは、空気を読めないなど発達障害の特徴を出しても、責められることはない。まずは、自分たちの特徴を知り、そのうえで、社会的なスキルを学ぶことが大切」と話している。

参考 産経新聞 2016.01.16

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