缶詰の真実を知っていますか

金属缶に詰めて密封することで食品の長期保存を可能とする「缶詰」。東日本大震災以降、「いざというときの備え」として自宅や職場などに常備されている例も少なくないだろう。

世界では1200種類以上の缶詰が生産されているが、中でも、日本は有数の缶詰生産国であると同時に有数の缶詰消費国でもあり、国民1人あたり年間33缶を消費しているというデータもある

■ 「缶詰バー」や「グルメ缶」が流行

最近では、缶詰料理をつまみにお酒が飲める「缶詰バー」なる店が続々出店していたり、明治屋からは厳選素材で作った究極の缶詰、「おいしい缶詰」シリーズなるものが発売され、いわゆる「グルメ缶」と呼ばれるジャンルが大流行したりしている

そんな缶詰に、ふと疑問が沸いてきた。そもそも「缶詰になる食品」と「缶詰になっていない食品」。この差って何なのだろうか?

 「缶詰バー」では「酒のつまみになるかどうか」が重要なポイントになり、明治屋では、「アヒージョやデミグラスソース、燻製など家庭では再現しにくい本格的なものかどうか」が商品化の基準になっているという。だとしたら、果物のような「素材モノ」の缶詰の場合、一体誰が、どういう基準で缶詰化しているのだろうか?

そこでTBSテレビ『この差って何ですか?』(初回は4月12日よる6時30分~)取材班は、現在日本で販売されている果物の缶詰を徹底調査してみた。あつめに集めた果物の缶詰は、全部で16種類! おなじみの白桃やみかんから、びわ・あんず・いちじくなど、普段スーパーではめったに見かけない変わったものまであった。 ところが、である。「イチゴ」や「バナナ」や「すいか」といった、王道のイメージがある果物には缶詰がないのだ。いったいなぜ!?  日本缶詰びん詰レトルト食品協会の藤崎享氏に話を聞いてみた。

「缶詰は、そもそも長期保存を目的とした製品」(藤崎氏)であることが、ポイントだというつまり、その果物が季節や地域によって収穫できず手に入らないものである場合、それを年中食べられるようにするために、缶詰にしているということなのだ確かに言われてみれば、イチゴやバナナ、すいかは、ハウス栽培や輸入などによって、日本国内では一年中いつでも食べられるわけで、わざわざ缶詰にする必要がない。納得である

実は、びわやあんず、いちじく、ライチなど、そもそも一年中食べられなくても、消費者的にはそんなに困らないものが、わざわざ缶詰になっている。なぜだろうか。この理由を探るとシンプルな答えにたどりついた。「高級な贈答品や、ケーキなどを製造している菓子メーカーからの業務用の需要がある」ということらしい

■ 中国で見つけた! 衝撃の「イチゴ缶」

一方で、日本のようにイチゴやバナナ、すいかが年中食べられない国には、これらの缶詰があるのだろうか。取材班が再び調べてみると、中国や東南アジアでは、イチゴやバナナ、すいかの缶詰があることが判明した

いったいどんな味がするのか…いかにもザワザワする見た目。こわいもの見たさ(? )でぜひとも食べてみたい!

ところが、海外からの取り寄せを試みるも税関でひっかかってしまい実際のものを試食することがかなわなかった。そこで、取材班は日本国内の缶詰メーカーに協力を依頼し、「イチゴ缶」「バナナ缶」「すいか缶」を独自に作ってもらうことにした! 日本缶詰びん詰レトルト食品協会の藤崎氏いわく、味がうまいか不味いかは別にすると、「技術的には缶詰にできない食品はほぼない」というから驚きだ

では、それぞれの試食レポートをお届けしよう!

【意外とイケる!? イチゴ缶】
まずはイチゴ缶。缶詰を開けてみると、そこにはほぼそのままの形を残したイチゴが! おそるおそる食べてみると…悪くない! 甘酸っぱくて、果肉がごろごろ入っている超高級なイチゴジャムのような味わい。これは全然アリだ! むしろ、新しいスイ-ツとして生産販売して欲しい!! 

【微妙な味わいのスイカ缶】
続いてスイカの缶詰をオープン。中には一口サイズにカットしたスイカが入っていたはずなのだが、加熱処理をした際に角が取れたせいか、見た目はまるでレバー。しかし、においは間違いなくスイカ。口に入れると…
スイカ特有のシャリシャリした食感は完全に失われ、微妙すぎる味わいだった

【衝撃の味だったバナナ缶】
タイでは実際に製造されているという情報の「バナナ缶」。どんな味なのか想像もつかないが、実際缶をあけると、薄ピンク色の物体がぷかり…。あまりの見た目に、ここで表現できるうまい例えが見つからない。

それを目をつぶって口に入れると…えも言われぬ食感で独特の香りが口いっぱいに広がる。もともと水分が少ないバナナのようなフルーツは缶詰には向いていないようだ繊維状のものが口のなかにのこり想像以上に食べにくいものであった

缶詰の本来の目的は「長期保存」手に入らないものをいつでも食べられるようにするため・・・という、言われてみれば当たり前の調査結果ではあったが、缶詰市場には本格的な「グルメ缶」の新メニューが花盛り。本格京風だしが旨い『だし巻き缶詰』や、大阪名物がそのまま缶詰になった『たこ焼缶詰』などなど・・・こんな状況を見ると、缶詰の担う役割も少し変わってきたのかもしれない。

 

参考 東洋経済オンライン 2015.04.08

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