続発する少女失踪→発端にSNS

 福井県内で昨年から今年にかけ、女子中高生の誘拐事件が3件起きたいずれも会員制交流サイト(SNS)で年上の県外の男と知り合い、行動を共にしたまま失踪早期に保護されたが、埼玉県の少女連れ去りのような一大事件となる恐れがあったSNSを発端とした少女の失踪は全国で増えており、県内の10代からは「SNSの出会いに抵抗感はない」との声も聞かれる。県内未成年者の不明届は過去5年で毎年50~90件に上る中、関係機関は連れ去り事件が増えないか懸念している。

▼不明届71件

昨年10月、岡山県。同11月、東京都。今年2月、兵庫県―。福井県内の女子中高生3人が警察に保護されたのは、遠く離れた路上やマンションの一室だった

いずれも家族が「娘と連絡が取れない」と県警に届け出た。3人は県外の20代男と行動していた。すべて未成年者誘拐の疑いで摘発された。「家に帰りたくない」と、少女側が男に同行を求めたケースもあったという

県警によると、県内の未成年の不明届は2015年が前年比19件増の71件で、10代が9割超を占めた。理由は、親子間の不和といった「家庭関係」が最多の32件。ほかに「学業関係」が10件、「異性関係」が5件など

▼深い仲と錯覚

埼玉県の少女は、下校中に呼び止められ車に乗せられたとみられる。一方、福井県内の少女の事件は、いずれもSNSでの交流が発端。子どもの非行や防犯に詳しい清永賢二・元日本女子大教授(犯罪学)はSNS交際について「深い仲になったような錯覚を持ちやすい」と分析低年齢の少女ほど影響を受けやすいとし、SNSをきっかけとした家出が増加傾向にあると指摘する

実際、少女側の危機感は乏しいようだ。羽水高(福井市)の生徒会が昨年行ったスマートフォンの依存度を調べる校内アンケートによると、「ネット上で知り合った異性と実際に会ったか」との質問に対し、「はい」と答えたのは各学年で約1割に当たる30人前後に上った。当時の生徒会長、龍崎優勝さん(18)は「予想以上でショックを受けた。SNSでの出会いが当たり前になっている」と話す。

福井市少年愛護センターによると、昨年4月から今年1月の間に補導員が声を掛けた小中高の女子は延べ2387人。中には「ご飯をおごってもらってラッキー」と、見知らぬ男性との交流をSNSに書き込む少女もいる

▼待ち受ける闇

後先を深く考えない行動が危機を招いた例がある。県内のアルバイト少女(16)の母親(41)によると昨夏、娘が「大阪で仕事を見つけた」と家を飛び出した。先輩に誘われ、普段着姿で接客するガールズバーで働くのだという

しかし1週間後、おびえた様子で「怖い。どこに連れられたか分からない」と電話してきた。数時間後、「逃げ出せた」との連絡があった。「仕事先」の関係者がふびんに思い、解放してくれたらしい母親は「性風俗のような際どい仕事だったのでは」と察し、「無事に帰り、本当によかった」と胸をなで下ろす

「売春、ドラッグ、『JKビジネス』…。家出先には社会の闇が待ち受けている」と清永元教授。「学校、保護者、地域社会が未成年の健全育成に一層、努めるべきだ」と話している。

福井新聞ONLINE 2016.04.02

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