細胞の自食作用→神経難病の解明に期待

生き物が細胞の一部を分解してエネルギーなどに再利用する「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる現象は、これまで知られていた細胞内に浮かぶ小さなたんぱく質などだけでなく、重要な小器官である核や小胞体でも起きているとの研究結果を、東京工業大の中戸川仁准教授(分子細胞生物学)らのチームが英科学誌ネイチャーに発表した生命を維持する機構の解明のほか、神経難病の発症原因を探るヒントにもなる成果という

 オートファジーは細胞内の栄養分をリサイクルする機能の一つ細胞に栄養が足りなくなると内部に「オートファゴソーム」と呼ばれる膜が現れ、不要なたたんぱく質などを包み込んで分解、再利用する細胞内の小器官ミトコンドリアも、この現象で分解されることが知られていた

チームは微生物の一種の酵母を使った実験で、膜の上に存在するたんぱく質「Atg8」に注目これと結合するたんぱく質を調べたところ、細胞が飢餓状態になると出現する二つのたんぱく質が新たに見つかり、それぞれ核と小胞体の目印となって膜を呼び寄せて分解を誘導することが分かったという核がなくなると細胞は死んでしまうが、分解されるのは不要なごく一部と考えられる

オートファジーは、ある種の病気にも関わることが分かってきており、ミトコンドリアの分解が進まず「不良品」がたまった状態がパーキンソン病発症の一因とみられている。今回明らかになった小胞体の分解では、目印のたんぱく質の遺伝子に異常が起きると神経細胞が死にやすくなり、難病「遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー(HSAN)2型」の発症に関連するとのマウス実験の結果が報告されており、中戸川准教授は「病気を解明する足がかりになる」と期待する。

参考 毎日新聞 2015.06.21

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