純潔を守り人生変える→南ア

南アフリカに住むトゥベリレ・ドゥロドゥロ(Thubelihle Dlodlo)さん(18)は今年、家族が授業料を払えないために大学進学をあきらめるところだったが、処女であることで何とか免れた

【写真5枚】「処女検査」について説明する検査官の女性

 彼女がバージンである限り、首都プレトリア(Pretoria)にある大学を卒業するための授業料と寮の費用は、出身地の自治体が負担してくれる

 沿岸都市ダーバン(Durban)の北200キロにあるウトゥケラ(Uthukela)地区で、処女の女性のみを対象に導入されたこの奨学金制度は10代の妊娠や、まん延するHIV/AIDSの拡大防止が目的とされる

この奨学金はとても重要これで私の将来が変わるのですから。世界にだって勝てる」と、ドゥロドゥロさんは語る。

 奨学金の額には幅があるが、年間数千ドル(数十万円)が支給される場合もある受給者16人のうち、最年長のボンギウェ・シトレ(Bongiwe Sithole)さん(32)は、貧しさゆえに大学を中退していたが、この奨学金のおかげで大学に戻ることができた

私たち処女には、制限が設けられていない成績にかかわらず、奨学金がもらえます」とシトレさんは語る。「自分の体、そして純潔さをもって、奨学金を受け取っているのです

 ただし、受給条件の一つが、年配の女性による処女検査を受けることだ。人権擁護の活動家たちはこの検査について、女性らの品位をおとしめるものだとして、怒りをあらわにしている

 だがウトゥケラ当局は動じていない。同地区のドゥドゥ・マジブコ(Dudu Mazibuko)区長はAFPに「奨学金制度を導入した主な理由は、私たちの地区で10代の妊娠率が非常に高く、多くの若者がHIVに感染しているからだ」と語った

■処女たち自身のアイデア

 当局の統計によると、同地区に住む15~49歳のうち、最大で半数がHIVに感染しているとされる。またファクトチェック(事実確認)団体「アフリカ・チェック(Africa Check)」の統計によれば、南アフリカでは女性の約25%が19歳までに妊娠を経験している

マジブコ氏によれば、奨学金制度のアイデアは処女の女性たち本人が出したものだったこうした女性らは、妊娠した他の女性たちが政府から育児支援などの「褒美」をもらっている一方で、自分たちは無視されていることに不満を抱いていたという

 だが女性の権利擁護活動家たちは、同制度に強く反対している。

 南アフリカの与党・アフリカ民族会議(ANC)女性連盟の会長を務めるバサビレ・ドラミニ(Bathabile Dlamini)社会開発相は処女検査を「女性を抑圧する家父長的な諸慣習に根付く、明らかに有害な行為だ」と糾弾した

 男女平等委員会(The Commission for Gender Equality)のムファンゼルウェ・ショジ(Mfanozelwe Shozi)委員長はこの奨学金制度は処女という「条件」をつけているために、「極めて差別的」で、憲法に反するものだと非難。さらに、女性らに対する検査がHIV予防につながるという根拠はないと指摘した

■童貞男子向けにも計画

 しかし、検査を受けて処女と認められた女性たちや地元当局は、異論を唱える

処女検査は私のプライバシーを侵害しない。私はありのままの自分を愛しているし、検査は私にさらなる尊厳を与えてくれる」と、ドゥロドゥロさんは言う。彼女は若い女性たちの「ロールモデル」になりたいという

任意で行われているので、プライバシーの侵害はない痛みもないし、屈辱を感じることもまったくない」と、ウトゥケラ地区の女性区長、マジブコ氏は付け加えた。

 同氏は同検査が性差別だという訴えも一蹴。同様の制度を男性向けにも導入する計画があると述べた。ただしどのように検査するかについては説明しなかった。

長期的な計画では、童貞の男子たちにも奨学金を供与していくつもりでいる」と、マジブコ区長は説明。「私たちはHIVやエイズと闘う意向だし、10代の妊娠も止めたい。これが有効な手段だと考えている」と語った。【翻訳編集】 AFPBB News

AFP=時事 2016.03.24

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