米艦南沙派遣→悩む韓国・欧州関心薄く

米軍艦が南シナ海・南沙諸島で「航行の自由」作戦を実行したことへの周辺国・地域の反応は割れている

◇韓国

【ソウル大貫智子】韓国外務省報道官は27日、米軍による「航行の自由」作戦実施について「事実関係を確認中」と述べるにとどめた。メディアや識者からは踏み込んだ立場表明をすべきだとの指摘が出ているが、韓国政府は北朝鮮問題などでの協力が必要として中国を刺激したくないのが本音で、「十分に立場は表明している」と反論している

報道官は、事実と確認できた場合には米軍の行動を支持するかとの日本人記者の質問に「仮定の質問には答えられない」と述べた

韓国政府は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の今月中旬の訪米で、米韓同盟の重要性を再確認し、韓国が中国に偏りすぎているという「中国傾斜論」が払拭(ふっしょく)されたとアピールしている

しかし、オバマ米大統領は米韓首脳会談後の共同記者会見で、南シナ海問題を念頭に、中国に対して韓国も積極的に対応するよう求めた

オバマ氏の発言について、米韓関係に詳しい峨山(アサン)政策研究院の崔剛(チェ・ガン)副院長は「中国傾斜論は今も残っている。航行の自由による恩恵を受ける国として韓国も何らかの寄与、少なくとも立場表明はすべきだというのが米国の立場だ。これからもさまざまなレベルで要求してくるだろう」と話す

一方、青瓦台(大統領府)関係者は「わが国の輸出の30%、石油輸入の90%が南シナ海を通っており、この地域での紛争は望ましくない」と指摘。そのうえで「国際的に確立された規範にのっとり、平和的な紛争解決をしなければならないという立場をこれまでも明らかにしている。我々が(これ以上)踏み込んだ立場を表明することは適切ではない」と反論し、新たに対応する必要はないとの考えを強調した。

崔氏は「韓国は、中国とも米国とも良い関係を維持しなければならない。朴政権の間はずっとジレンマが続くだろう」と見る

◇欧州

【ロンドン矢野純一、ベルリン中西啓介】ドイツやフランスなど欧州諸国は27日夕までに、目立った反応を見せていない。独仏両国については、メルケル独首相が29日、オランド仏大統領が11月2日から、それぞれ訪中を予定していることが背景にあるとみられる。

中国の習近平国家主席を迎えたばかりの英国も、事情は変わらない。キャメロン英首相と習主席の21日の首脳会談は経済関係強化に焦点があてられた。会談後、首相官邸は「南シナ海問題も含めた地域の安全保障について議論した」と説明したが、具体的内容には立ち入らなかった。

英王立防衛安全保障研究所のエドワード・シュワーク・アジア研究担当研究員は「航行の自由は英国にとっても重要だが、英国への直接の脅威はほとんどない」と話した

ドイツが議長国をつとめた6月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言では、南シナ海での中国の行動を念頭に、威嚇や武力の行使など、大規模な埋め立てを含む一方的な行為に強く反対していた

◇台湾

【台北・鈴木玲子】南沙諸島最大の太平島と東沙諸島を実効支配する台湾では、国防部(国防省)幹部が27日、記者会見で「米国の巡航は通常活動。(台湾)軍は南シナ海の海空域での活動を掌握できている」などと述べるにとどめ、米国と中国の双方に配慮を示した

台湾にとって米国は安全保障を含め事実上最大の後ろ盾。一方で馬政権は2008年の発足後、対中融和路線で中台関係改善を進めてきただけに、中国への刺激も避けたいところで、慎重に情勢を見極めている模様だ

参考 毎日新聞 2015.10.27

 

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