米大統領選→伏兵ルビオ氏登場

43歳の若さで2016年の米大統領選出馬を決めた、マルコ・ルビオ上院議員がマンハッタンにやってきた。議会上院の外交、商業委員会で活躍する米共和党の期待の星だ。

ルビオ議員は「アメリカン・ドリーム」の体現者でもある。飲食店で働くキューバ移民の家庭で育ち、奨学金を得て進学した。

若くて、野心家で、マイノリティー出身。08年に初出馬で当選したオバマ大統領の姿が重なるのか、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)などが最近実施した世論調査では、共和党候補者の中で支持率が1位となっている

ルビオ議員はニューヨークで地元有力者が集まった会合に出席し、1963年11月に暗殺されたケネディ大統領の演説を引用した。同大統領が公式の場で発した最後の言葉である。

内容を意訳すると、「世界平和には米国の『強さ』が必要であり、その『強さ』は米国の安全保障にもつながる。よって世界平和と米国の安全保障は同質である」という三段論法だ

会合でルビオ議員が開陳した対外政策はケネディ演説が素地にあり、「強き米国」を実現すべく、3つの柱からなる。通称、「ルビオ・ドクトリン」。

その第1は「米国の(軍事)力」。軍事予算削減を見直し、装備の近代化、諜報の強化を図る。ロシアによるクリミア併合や過激派組織「イスラム国」の台頭を対岸の火事とみていない

第2が「米経済の保護」。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の早期締結を支持し、自由貿易の礎であるシーレーン(海上輸送路)の保護を主張する

 第3が「米国の核心的価値観」。基本的人権といった価値観の重視であり、「人権や民主主義のない国々では政治が安定しない」という

金融危機の深淵(しんえん)をさまよった08年、格差や国民皆保険制度が俎上(そじょう)に載った12年。過去2回の大統領選では争点が国内経済に集中したが、「次の選挙は対外政策が主戦場になる可能性が出てきた」(米外交問題評議会のリチャード・ハース会長)

対外政策を前面に押し出しているのは、共和党の候補や候補予定者に目立つ。ウォーカー・ウィスコンシン州知事やサントラム元上院議員も積極介入主義を背景とした対外政策を掲げる

一方で、ブッシュ元フロリダ州知事は共和党の有力候補なのだが、イラク進攻に関する失言がたたって一時的に支持率を落とした。

対外政策の位置づけが上がったのはなぜか?

米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げが視野に入り、国内経済の相対的な重要性が低下したうえ、「静観主義」の色彩が強いオバマ外交への反動が出ているためだ

WSJなどの世論調査では、「政府の最優先課題は何か」との質問で「安全保障・テロ」と回答した比率が21%と3年前調査の6%から跳ね上がっている

先週半ばのロンドン。世界中の投資家が集まった国際会議では、「16年の米大統領選が生む投資機会」が話題になっていた。

ある英国人投資家は、「中国包囲網の機運が大統領選で高まり、米国が朝鮮半島の融和を働きかける」と先読みし、「消費財製造・販売の韓国企業株を買った」と告白していた。

政治でも金融の世界でも、対外政策は次期大統領選の鍵を握っているのだ

参考 産経新聞 2015.06.07

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