米国投資家に5つのリスクーエラリアン

中国株式市場が9日に反発したからといって、世界の投資家はこれで安堵(あんど)できるとの錯覚を抱いてはならない。中国の株式市場はまだ難局を脱したとは言えない。

中国政府は株価を安定させ徐々に回復させるプロセスを続けるとともに、売買停止や操作によって混乱した市場を再び正常に機能させる大仕事に取り組まなければならない

経済・金融面での米中両国間の強い結び付きを考えれば、米国の投資家にとってはギリシャ危機よりも中国での出来事の方がずっと重要度が大きい。米国の投資家が中国動向をチェックする上で次の5つに留意すべきだ。

まず中国の株価は過度の上昇の後を受け、典型的な相場調整過程にある30%もの下落は世界の注目を浴び、急落という表現に値するがそれに先立つ急上昇に比べれば影が薄い

第2にこの混乱は株価崩壊だけの問題ではなく、市場機能の問題でもある点が挙げられる。中国市場の調整をめぐり最も懸念すべき側面の1つは、政府や証券会社による大掛かりな売買停止や直接的な市場介入・操作といった「市場の失敗」と密接に関係していることだ

社会・政治的影響も

第3に最も差し迫った脅威としては、負の資産効果に伴う経済成長への逆風のほか、中国の金融自由化の流れの妨げとなることが指摘される。だが、これは経済や金融の問題だけにとどまらず、社会・政治的にも影響が生じる可能性がある小口投資家の多くは比較的遅くなってからブームに加わり株価急落で特に痛手を負った投資を奨励しておきながら、守ってくれなかったとしてその多くが政府を非難している

第4に、他の多くの国々とは異なり、中国政府には事態を再び掌握するために利用可能な一段と広範な手段がある。そのうち最も重要なのは、株の売却を手控えるよう脅したり、市場での一定の行動を全面的に禁じたりする行政上の措置を講じつつ、資金を直接投入する能力と意思を持っている点だろう

第5に事態を再度制御しようとする取り組みにはコストとリスクが伴う市場の機能に政府が直接介入すれば、それだけ経済にかかるコストは大きくなる中国を中間層を主体とする社会に移行させていくには、市場システムに向けたさらなる自由化の措置が必要だからだ

要するに、ギリシャとの関係とは違い米国とその投資家は中国発のショックに一層影響されやすい中国経済が打撃を受ければ、米国からの輸出への需要は減り、企業収益も損なわれる

中国が国内市場を下支えるために外貨準備を取り崩してより多くの資金をつぎ込めば中国が投資してきた米国の金融資産に圧力がかかるリスクはそれだけ大きくなる

市場改革の挫折が深刻になれば中国が世界経済における責務を完全に担うようになるまでさらに長い時間がかることを意味する。(モハメド・エラリアン)

参考 Blomberg 2015.07.10

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