米国が尖閣を守らないわけがない

安保法制も大詰めで法案成立はほぼ確実な情勢だ。状況が許すなら、いずれ改憲が政治課題に上る。小林節慶応大学名誉教授は、もともとは改憲派でありながら、自民党の「憲法改正草案」に強く反対する。では、護憲的改憲論者として、どう改憲すべきだと考えているのだろうか。(聞き手:ニュースソクラ編集長・土屋直也)

―― 憲法をどのように改正すべきだとお考えですか?

 現行憲法で変えた方がいいと思うのは、侵略戦争を二度としない、とはっきり書くことです。そう書けば、中国や韓国だって文句がつけられなくなるし、安心もするだろう。ただし、独立主権国家として、他国から襲われたら、自衛戦争は行う、ということも書く。自衛戦争を行うには自衛軍が必要なのだから、自衛軍と交戦権を持つ、ということも書く

さらに、国連の決議に基く国際警察活動に自衛軍を派遣することができる、ということも書く。国際警察活動、これは戦争ではないんです。これははっきり書いた方がいいんです。日本は国連の第二のスポンサーだし、資源はないけど、人的ストックが豊富で、大国なんです。世界の紛争にコミットメントしないで、自国に閉じこもっているのはよくない。国連の安保問題は安保理の担当ですから、安保理決議に限って、それに従って国際警察活動をする。安保理決議に限っておかないと、いろいろと言い訳ができますからね。そうすると、国際国家としても、大国としてもきちんとしている、ということになります

ただし、今いわれている集団的自衛権はロシアと中国とアメリカが争っているときに、常にアメリカについていく、という発想で正しくないと思います。その三者の争いは、日本としては放っておけばいいんです
今、世界で起こっているのはユダヤ・キリスト教国とイスラム教国との争い、加えて、そこにちょっかいを出す旧共産党国という構図です。日本としてはそういうところで起こっている戦争には参加しないでいいと思うんです。

東西冷戦が終ってロシアとアメリカの威光が弱まったとき、イラクのフセインがクエートに進行したことがあったでしょ。あれは、歴史的には確かに、西洋列強がイラクという国の一部にクエートという傀儡政権を作って石油を奪っていたという事実がある。だけれども、独立主権国家としてクエートは、世界に認知されていて、平和に統治しているそこを軍事力で侵略するというのは国際法違反なんです。これには、国際警察活動を実行してイラクにはクエートから帰ってもらう必要があった。そのことと、集団的自衛権で常にアメリカについていく、ということは違うことだと思います。

今問題になっていることの一つに、中国の南シナ海への進出ということがあります中国はフィリピンやベトナムを無視する形で、あそこに基地を作っている。これは大きな問題だけれども、南シナ海の問題は、フィリピン、ベトナムと対中国、アメリカ対中国の問題であって、日本は関係ない東シナ海の問題についてはアメリカと台湾と中国の問題です

日本で問題になっているのは、尖閣諸島の問題です日本列島があるから、ロシア軍と中国軍は津軽海峡と琉球列島を抜けないと太平洋に出られないそこを通る限り、ロシア、中国の動きは捕捉できるんです。それがあって、アメリカにとっても太平洋でのパワーバランスが取れている
だけど、尖閣諸島を中国に取られたら、アメリカは太平洋を失うことになる。だから、アメリカは日本が頼まなくてもアメリカ自身のために尖閣諸島を守ると思いますよ

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参考 ニュースソクラ 2015.09.08

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