米中二股・嫌日外交では描けない展望

韓国の朴槿恵大統領はアメリカを訪問し、オバマ大統領とホワイトハウスで首脳会談を行いました。現在の米韓の関係を象徴している玉虫色の結果のようで、見方によっては朴大統領の親中外交を容認したようにもみえるし、親中外交に釘を刺したとも見えますまた日本との関係改善の要望も「ふんわりと」あったようですここがオバマ的煮え切らない路線ともいえます共和党政権となるともっと厳しいスタンスでの交渉になるかと思います

韓国が行ってきた方向は、まずは親中路線ですこれは経済を優先させたものと考えていいでしょう。最近まで中国の経済成長は目覚しいものがありました。アメリカ中心で動いてきた世界経済に新たな展開がでてきたところです日本経済が韓国を含めアジアにおける影響力は絶大なのものがありました。しかし長期にわたる日本経済の停滞でその影響力はすっかりと陰ったイメージがあります。しかし、今でも日本の影響力は大きいのです。朴韓国は、日本に対する心理的な嫌悪感もあるのかもしれませんが、日米よりも中国を優先させる路線をとりましたしかし中国経済にも最近は陰りが見え出し、親中路線だけではリスクが高まってきたのです欧米日が中国から距離を置き始めても、なお韓国は親中路線を突っ走り、韓国経済自体が極めて厳しい状況に置かれてしまいました。そこで方向転換もしながらの新たな展開を模索中というというのが現在の朴政権といっていいでしょう

幾つものポイントがあります。まずは経済明らかに中国だけに頼った政策では将来に不安が残ります。韓国の置かれたポジションからすれば、米日との関係を強めることは明らかに重要日本資本だけでなく欧米資本も今、韓国から引き上げつつあります韓国が急成長したのはこうした海外マネーの流入ですサムスンにも巨額の資金が入り、それがサムスンの奇跡、韓国の奇跡を生み出したのです韓国は海外マネーに依存してきた体質を持ちます。ということは、海外マネーが引き上げると、韓国経済は大きな痛手を受けるのは必至なのです。相当に厳しい状況と言わざるを得ません。

韓国が持ち出した手はTPPへの加入ですこれによってアメリカにも日本にも経済友好路線を築こうというのです。朴大統領は日米国商工会議所が主催した第27回韓米財界会議で、「韓国がTPPに加入すれば両国企業に多くの利益をもたらすだろう」と話しています。戦略国際問題研究所(CSIS)の招請による演説でも「すでにTPP10カ国と自由貿易協定(FTA)を締結した韓国はTPPでも米国のパートナーだと考える」と述べたと報道されています。遅い、という批判を受けながらもアメリカ中心の経済圏にも顔を向け始めたのですただこれが実現するかどうかは、微妙です韓国での利権団体は日本のもの以上。参画宣言が遅れたこともあり、内外ともに厳しい交渉となるでしょう。またこれで、中国はいいのかどうかも問題です。二股路線の難しさがでてくるでしょう

外交も非常に問題です。オバマ大統領の外交政策はどちらかといえばソフトですからまだ救われていますが、これからますます米中のアジアにおける覇権争いが激化する可能性があります。韓国はどうするのか一つの方向は全方位外交ですが、これが嫌日というスタンスもありますから難しい。そもそも全方位外交も難しい路線なのですが。。。朴大統領との会談後の記者会見でオバマ大統領は、韓国と中国の関係について一定の理解を示したものの、中国が国際ルールにもとるような行動をとれば、韓国はきちんと意見すべきとの考えを示しました南シナ海や東シナ海での中国の活動に対して、アメリカと共同で態度を示せ、ということでしょう韓国は日本に対しては竹島問題もあり、中国と日本との尖閣諸島問題などをひっくるめて、中国との連携を行っています。当然、南シナ海などでの領有権問題においてASEAN、アメリカ、日本などとは距離を置いてきました。その方向を変えることができるのか。ほぼ無理な課題を押し付けられたことになります。

北朝鮮問題も簡単ではありません韓国の中国依存は、諸刃の刃です北朝鮮が崩壊したら、南北統一が待っているというのは韓国でのイメージですが、おそらくそうはなりません中国が吸収することになるでしょう。つまりこの場合には、韓国と中国は直接的に国境を接することになります。「同胞」を取られた上でのことです。そもそも朝鮮半島は中国の領土であるという中国側のイメージもあります。どこまで歴史を遡るかによるのですが、そうした前提のイメージがあることは認識すべきでしょう。「歴史」を直視するなら、日本の植民地問題よりも南北戦争での被害や実態を考えることのほうが現実にはもっと意味があると思っています。ここにおいても決定的に米日との協働が必要だと考えるのですが、中国寄りの韓国がどこまできっぱりとした方向を出せるかどうかがポイントになります

韓国はどう進むのか現在、韓国が置かれている状況は危機的と言えます。朴政権が力を出すことが出来るのは後1年でしょう。残りはレームダック状況になると言われます。この期間に劇的な指針の転換ができるのかどうか。ちょっと遅すぎたという感があります。オバマ大統領もすでにレームダック状況に近くなっています

具体的なポイントは明確です。日韓関係の急速な修復があるかどうかです。まともな日韓首脳会談が開かれていません。未だにそうなのか、と驚かされますが、まずはここから再スタートなのでしょう。いきなり路線変更ともいえないでしょうから、韓国の二股・嫌日外交は相当に厳しい状況に陥る可能性が高いのですまずは破綻しつつある経済に火がつきそうです

参考 児玉 克哉 2015.10.19

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