痛みも伴う改革断行→600万人解雇も

 中国の1~3月期の国内総生産(GDP)が前年同期比6.7%増と、7年ぶりの低い伸びにとどまった習近平指導部は経済構造改革を断行することで、高度成長から長期安定成長への軟着陸を目指すが、それに伴う雇用不安は避けられない傷口に塩を塗るような改革の痛みに耐えながら、景気と両にらみの難しい経済運営を迫られている

◇数千人がデモ
「賃金未払いは一切ない」。黒竜江省の陸昊省長が3月に行った公開会議で、同省国有石炭大手の竜煤集団の坑内労働者について、こう言い放つと、半年近くにわたる賃金未払いで生活苦に陥っている労働者らが激怒。省内有数の炭鉱都市である双鴨山市で、数千人規模のデモを繰り広げた

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 旧満州に位置する双鴨山は冬季には零下数十度まで下がり、生活条件は厳しいある炭鉱で家族と暮らす40代の労働者は「命懸けで作業しているのに、小遣い程度の一時金しか支払われない」と怒りをむき出しにした。デモでは、線路を封鎖して石炭輸送を止める抗議行動も行われたという

異例の激しい抗議に慌てた陸省長は、直ちに発言を撤回石炭価格下落で経営が苦しい炭鉱側も、数カ月分の未払い賃金の支給を約束した。だが、抗議活動は他の炭鉱にもじわりと飛び火している。記者が今月、双鴨山郊外の炭鉱を訪ねると、支払いを求める労働者十数人が経営陣のいる建物前に集まり、警備員に阻止されていた

地方疲弊は必至
習指導部が進める経済構造改革の柱が過剰生産設備の解消だまずは石炭と鉄鋼の両業界で、赤字続きの「ゾンビ企業」を整理する当局はこれら2業界で計180万人の余剰人員が出ると想定。他の業界を含め、計500万~600万人が解雇されるとの見通しも伝えられている

指導部が目指すのが、日本など先進各国がたどった経済発展モデルだ。鉱工業がけん引する成長方式からサービス業主導型に移行させる。大量発生が予想される鉱工業分野の失業者は飲食店や小売店、物流などのサービス業で吸収する計画だ

こうした取り組みは短期的には景気減速に拍車を掛ける恐れがある。そのため当局は、厳しい改革と矛盾するかのような企業減税、公共投資拡大、金融緩和などを通じ、景気の下支えを続ける

専門家の間では、景気支援と構造改革の両立は極めて難しいと指摘される全国各地で徹底的な過剰設備解消を進めれば、地方経済が疲弊するのは必至だからだ

双鴨山では炭鉱の閉鎖や人員削減が相次ぐ中で、地元経済全体が沈み始めた鉱工業の不振がサービス業に波及し、余剰人員を吸収する余裕などない。市中心部で飲食店を営む女性は「客足は遠のくばかりで、先の見通しが全く立たない」と嘆いた。(双鴨山=中国黒竜江省=時事)

時事通信2016.04.18

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