痔主、3人に1人なのに半数は治療しない

国民病のひとつと言われる「痔」諸説あるが日本人の3人に1人が経験者というのが妥当なセンで、調査によってはそれ以上の数字も出ている。ただでさえ病院通いは面倒で、時間を作れない人も多い上に部位が部位だけに恥ずかしいのか、受診率が50%を切るのも特徴だ

● 意外とわかっていない 三大「痔」疾患をおさらい

そもそも痔とは肛門部の疾患の総称である。なかでも「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう」が三大疾患ともいえる代表的なもので、痔といえばこの3つを指すと考えてよい。ちなみにいぼ痔は「痔核」、切れ痔は「裂肛」が医学上の正式名称で、字面だけで具合が悪くなりそうだ。

痔核は直腸や肛門周辺の静脈が鬱血し、いぼ状になった状態で、出血や痛みを伴うことが多い。いきみや、便秘、激しい下痢、重いものを持つなどの肛門への負担により、症状は重くなっていく。長時間座ったままなどの姿勢を取り続けるのも鬱血の原因となりよろしくない胃腸の調子が悪く、トイレに座っていることが多い人は要注意である経年による肛門の皮膚や粘膜の支持組織がゆるんでくるのも原因のひとつで、「働き盛りに多い」「中年以降に多い」とされるのはこのタイプ(痔核)である

裂肛は肛門のケガである便秘時などの硬い便が肛門から出る際に、肛門の上皮が裂け、痛んだり出血したりするのだ。便秘や出産のときに強い腹圧をかける悪影響から女性に多いとされるが、男性の患者も少なくない。便秘と同様に下痢も危険だ下痢の水分の多い便は肛門粘膜に浸透して炎症を起こしやすい慢性の下痢なら粘膜がダメージを受け続けることになり、切れやすくなってしまうのである

 痔ろうは肛門の感染症である直腸と肛門を隔てる歯状線のくぼみに便が入り込むと、大腸菌などの細菌感染によって化膿することがある膿がたまるだけではなく、症状が進行すると膿の管ができてしまう。この管は最悪の場合、肛門の近くにまで達し皮膚に穴を開け、「第二の肛門」のような状態になってしまうのだ。痔ろうの受診率はさすがに痔核や裂肛より高いが、それでも50%を超える程度である

● 自覚症状のない「痔」も すぐ受診、腸内環境を整え予防を

考えるだに恐ろしい痔の世界だが、幸いなことに治療法は確立されている。よほど特殊な症例でもない限り、病院へ行けば治ると考えてよい。痔ろうは別として、手術の必要がない場合も多いし、日帰りで済む手術もある。痔に悩まされているなら「まず病院へ」が鉄則だ

もちろん予防できればそれに越したことはない。ここまで見てきたように痔の最大の原因は便秘と下痢である腸内環境を整えるなど便秘や下痢を防ぐことが、そのまま痔の予防にもつながるのだ厄介なのは、便秘や下痢を交互に繰り返す過敏性腸症候群である。その原因となるストレスや不安を取り除くには、仕事や家庭生活そのものを見直す必要があるのだが、ビジネスパーソンにとっては最も手のつけづらいところでもある

自分には痔がないから関係ない、とも言っていられない。痔核のうち、肛門の奥の直腸側にできる内痔核は自覚症状がない場合が多いのだ中年を迎えたら自覚症状はなくとも痔核はあるものと考え、それ以上の悪化を防ぐ生活を心がけるべきだろう

(工藤 渉)

ダイヤモンド・オンライン2016.05.21

 images-3-48-150x150images

【関連する記事】