異常に持ち帰りが多くなった→天丼

世の中にあふれるさまざまな統計やデータ。これを基にしていろいろなランキングが作られるワケだが、中にはなぜそうなるのかの理由が、すぐにはわからないような 世にも不思議なランキング がある。
TBSテレビ『世にも不思議なランキング なんで? なんで? なんで?』(原則として毎週月曜よる7時<一部地域はよる8時>放送)は、そんなランキングデータの謎を解き明かす番組だ。「なんで△△が○位にランクインしているのか?」。その裏側を探ると、驚きの事実が次々に明らかになってくる。取材班が直面した不思議なランキングの一端をご紹介しよう

天丼1杯が500円(並盛)からというお手頃な価格で食べられる「天丼てんや」をご存じだろうか。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」のほか、機内食やホテルなどを手掛けるロイヤルホールディングスグループのテン コーポレーションが運営する外食チェーンのひとつだ。

直営・フランチャイズにより、首都圏を中心に国内160店強のネットワークを構える。その「天丼てんや」にまつわる不思議な現象を示すランキングがある。

■ 1位の店舗は数でも断トツ

■「天丼てんや」で「持ち帰り」が多い店舗(2015年)
1位ビーンズ赤羽店(東京・北区)
2位川口店(埼玉・川口市)
3位川崎アゼリア店(神奈川・川崎市)
4位昭島モリタウン店(東京・昭島市)
5位西葛西店(東京・江戸川区)
(出典:テン コーポレーション)

注目は1位のビーンズ赤羽店。1日に360食以上の天丼を「持ち帰り=テイクアウト」で販売するてんや全チェーンの平均が100食程度なのに対して圧倒的に多い売り上げ構成を見るともっと顕著で、その8割以上がテイクアウトだという

不思議なのはビーンズ赤羽店でテイクアウト客が急増したのはつい最近ということ。同じランキングを少しさかのぼると2013年は全国9位だったが、2014年に2位へと一気にジャンプアップ。今年、1位に躍り出た

店内で食べれば味噌汁が付き、おしんこも食べられる何よりできたてだし、それこそが外食店で食事する醍醐味。にもかかわらず、なぜそこまでテイクアウト客が多いのだろうか

本社の偉い人なのに、わからないとはどういうことか? さらには「私たちにもよくわからないので、ぜひ調べてほしいです」(担当取締役)とまで言われてしまった。

ただ、こちらはこれまで『世にも不思議なランキング』をいくつも解き明かしてきた。ここまで来たら自分たちで調べるしかない。取材班はまず、現地に向かった。■ 持ち帰りのお客さんで列をなす店内

その場所は、JR赤羽駅から徒歩わずか1分の高架下にあった。確かにお客がたくさん集まりそうな立地だ。店内に入ると食事時でもないのに、テイクアウトコーナーに5人のお客が列をなしている。食事スペースが狭いワケではない。調理にかけている時間が特別早いという特徴もない。

この店で10年以上働くベテラン店員に聞いてみた。「特にこれといって思い当たることがないんです」。ここでもそうなのか。お店側の当事者は誰も理由がわからないのに、なぜかテイクアウトが多いという状態になっている

テイクアウト客を一人ひとり観察していると、あることに気づいた。天丼を1人前ではなくて3~4人前あるいはもっと多い数を大量に買い求めて店を出て行く人が多いのだ

子どもが多く、お店だとバタバタしちゃうので」「6人家族なんですけど今日は1人いないので5人前買いました」「揚げ物を(家で)やると大変なので」――。実際に大量購入するテイクアウト客を捕まえてみると、こんな話が聞けた。JR赤羽駅の近辺は団地が多い。家族のために持ち帰って、一緒に食べているのだろう

だが、これはあくまで現象にすぎない。根本的な理由は別のところにあった。複数のテイクアウト客が言う。

「一度あたしも持っていかれてね」

「わかんないもんね、いつ持っていかれるか」

「一回撤去された事があるので気をつけています」

いったい何のことか?

■ テイクアウト急増のカラクリが判明!

この移送手数料がポイント。以前は3000円だったがあまりにひどい状況を改善するため、行政側が都内最高の5000円に引き上げた。自転車を置いてゆっくり食事をしている間に持っていかれて、その引き取りに5000円もかかってしまってはたまらないビーンズ赤羽店のテイクアウトが急増したのは、こういうカラクリだったワケだ

赤羽の放置自転車問題がめぐりめぐって、天丼てんや赤羽ビーンズ店のお客の流れを大きく変えた局所的ながら行政による法律や制度の改正が、経済現象に大きく影響を及ぼすことの端緒である

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