産業界→水素活用に商機

水素を自動車の燃料や発電システムに活用しようという動きが広がっている。トヨタ自動車〈7203〉が燃料電池車(FCV)を発売するのを追い風に、産業界は水素を貯蔵・輸送するインフラ整備を急ピッチで進める方針だ
政府は、日本の水素関連の市場規模が2050年には8兆円に成長すると予測。東京都も20年の五輪に向け、環境技術をアピールするため、水素を使ったシャトルバスの運行や、水素を補給するステーションの増設支援を検討しており、水素ビジネスの拡大が期待されている
川崎重工業〈7012〉は、水素を大量に運ぶために、マイナス253度まで温度を下げて液化し体積を800分の1にすることに成功した液化水素を運搬できる特殊な実証船を開発中で、将来的には製造・輸送設備の大型化を図る
川重はオーストラリアの低品位な「褐炭」を触媒と反応させて水素を取り出し、液化して運搬船で日本まで運ぶ実証実験を豪州と展開小規模な供給体制は20年までに確立し、商用化する30年には大型船6隻を投入し「事業規模を1000億円に拡大したい」(西村元彦理事)考えだ

千代田化工建設〈6366〉は水素をトルエンに転換し、再度水素に戻す技術を開発、20年の実用化を目指す

トルエンは通常のタンカーで運べるのが利点海底油田の水素を活用できる洋上設備も三菱重工業と共同開発した

一方、日立造船〈7004〉は水素の幅広い活用には時間が要るとみている。過渡期の試みとして、水素をいったん火力発電や家庭用などに使えるメタンに転換する研究を進めている長所は「既存設備を使えるため、運搬・貯蔵の費用が安価」(熊谷直和日立造船執行役員)であり、水素活用の入り口をつくる意義がありそうだ

ドイツでは風力発電の余剰電力を使って水素を造り、さらに貯蔵性が高いメタンに転換するエネルギー政策も模索中で、世界的な潮流に乗る思惑もある
自動車や家庭用発電の燃料電池のエネルギー源として水素に大きな注目が集まるが、日本がリードする水素技術が花開くにはなお困難な試行錯誤が続きそうだ

参考 時事通信ドットコム 2014.12.19

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