産まない女、独身を謳歌する40代

少子化の今、産まないという考え方は“悪いこと”なのだろうか

高齢経済社会研究センターでは、厚生労働省が毎年発表する都道府県別の合計特殊出生率について、全国値と比較可能な平成 26 年の都道府県別の合計特殊出生率を計算し、以下のように発表した。

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1位:沖縄県(1.88人)、47位:東京都(1.20人)

地方に比べ女性の自立が進んでいる都会では、晩婚化が進み“出産”から少しずつ遠のいてしまう現状がある。このままでは少子化が進み、2060年には65歳以上の高齢者が、日本全体の約40%を占めると言われているのだ

多くが出産を望み、命が生まれることは素晴らしいことだ。しかし、“産まない”という選択肢を選ぶことも否定はできない。決して子供が望めない体でもない、嫌いなわけでもないが、産む決断と同じように、産まない決断をする女性も増えている

これまで20代にして産まないことを決意した和香(29)、DINKSでいることを選んだ真奈美(36)を紹介したが、今回は独身人生を謳歌しているバツイチの恵美に(43)話を聞いた。

仕事とプライベートは分けて楽しむ

仕事は公認会計士、年収は1,500万円ほどだという恵美。綺麗に巻かれたロングヘアをかき上げながら答える彼女は、40代と思えない美しさをもっている。個人事務所のため仕事は忙しいが、きちんとプライベートは充実させているそうだ

ここで彼女のとある一日を覗いてみた。まずは朝6時頃に起床。酵素ドリンクを飲むところからスタートする。ロシアンブルーの愛猫に挨拶をし、軽いジョギングかヨガ教室に通う朝から運動するのは気持ちがリセットされて心地良いそうだ

代々木上原に住む彼女は『カタネカフェ』で朝食を済ませ、タクシーに乗り出勤。職場は青山近辺で9時から10時の間にはオフィスに入る。堅苦しい雰囲気にしたくないという本人の意思が伝わる職場で、内装はおしゃれな雰囲気

正午にはお昼と打ち合わせを兼ねて外出する。この日のランチは虎ノ門で打ち合わせがあるため『ピルエット』だった。ビストロとカフェがあるレストラン空間で、食事は素材の良さを活かしたシンプルで上質なフレンチが特徴。美味しいと思った食材をエピスリーでも購入できるのが気に入っていると話す。

打ち合わせを済ませた後は、同い年の友人との会食。六本木の『シャングリラズ シークレット』でキノコをじっくり煮込んだ宝茸黒湯を味わいながら、トークに花を咲かせる。

話題は自分たちの将来について。恵美は30代のときに一度結婚をしている。しかし、ひと回り違う彼との生活は5年で破局を迎えてしまった理由は“意見のすれ違い”によるもの。恵美は最初から「子供は産まない」と断言し、それを彼は了承して結婚

結婚生活が続くうちに「やっぱり子供が欲しい」と相談されることが増えてしまった。自分の人生に子供を産むということを、元々視野にいれていなかった恵美にとって、彼からの申し出にはNOとしか答えられなかったのだ

何度か話し合いを重ね、離婚を切り出したのは彼女から。50歳に近い彼が子供を望まない自分のそばにいることは残酷だと思った3年後、再婚をした彼は念願の父親に。フェイスブックで見たお父さん似の子供はとても可愛かった。ただ、彼女に彼の子供を産んであげたかったという後悔はない。

自分の人生に後悔はない

20代のときから、恵美は結婚にあまり関心がなかった両親が離婚しているわけではないが、紙切れ一枚の契約になにがあるのだろうといつも疑問に感じていたのだ。「一度結婚すれば考えが変わる」と言われ、行動に移してみたが結果考えは変わらない

今は独身に戻り、仕事も軌道にのっている新たなパートナーはいるが、彼も自分と同じでバツイチそして結婚を望んでいない。とくに同棲も考えていないので、来年にはシングル専用のマンションを購入する予定だ

両親には再婚はしないのかと聞かれるが、仕事が忙しいことを知っているので半ば諦めているようだった。恵美には5歳下の妹がいるが、すでに結婚し2児の母となっている。無責任かもしれないが、妹が両親に孫を見せてくれているので、自分はふたりの老後を見てあげることが役目だと思っているのだ

浪費癖のない彼女には貯蓄があり、金額は数年遊んで暮らせるほど友人とは60歳になったらお金を出し合い、どこかのマンションを一棟購入して、仲のいい独身仲間で助けあって暮らすのもいいよねと話している

独身で出産をしない自分の肩身が狭いと感じたことはない。産まないと決めている自分に産めと意見を押し付けてくる人もいるが、それよりもまずは産みたい人の負担が軽くなるようにするべきだと考えている。そのために独身税を取られても自分は構わない

そんな話を友人とし、気付けば23時を回っていた。お互い独身とは言え、年齢的に夜更かしは老化の元。また会う約束をかわし、タクシーで家路を急いだ

家に帰れば愛猫が迎えてくれる離婚をしたときに一度寂しい思いが溢れ、知り合いから譲り受けた娘というよりは親友のような存在で、仕事が忙しく疲れて帰ってきてもニャーと擦り寄ってきてくれるそれはなによりも疲れを吹き飛ばす力を持っていた。そして、誰にも言えない悩みはこの子に聞いてもらっている

スーツを脱いでラフな格好になり、ソファで猫とゴロゴロする。このとき、今が一番幸せだと実感するという

明日の仕事を確認していたら深夜1時。明日は少しゆっくり起きようと思いながら眠りにつく。寝具にこだわりを持っている彼女はベッドにはお金をかけており、布団に入れば数分で眠りについてしまうほど。その日の疲れは次の日に持ち越さないのが彼女のモットーなのだ

「自分の人生は一度しかない。いまの生活に不安がないかと言われれば嘘になるが、この選択がベストだと思って生きていくことにしています。それが生涯ひとりだとしても

恵美は意地を張って独身であることを貫いているわけではない。たまたま自分の人生を歩んでいたら、こういう道筋になっただけなのだ人間はその時々で変化していく。もしかしたら1年後には違うことをしているかもしれないしかしどの選択をしても、それは間違えではない。自分の人生は自分のものだということを、改めて彼女に教えられた

東京カレンダー2016.06.05

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