現代日本に多い高齢者の自殺を考える

作曲家・音楽プロデューサーの加瀬邦彦さん(74)が逝去されました。死因は自殺と見られています。実は現在の日本では、高齢者の自殺が極めて多いことをご存じでしょうか

◆高齢化社会ともに増える高齢者の自殺
加瀬さんは、1960年代後半に活躍したグループサウンズの代表的バンド「ザ・ワイルドワンズ」のリーダーです。グループサウンズはいまで言うバンドのことで、1966年のビートルズ来日以降に爆発的に流行しましたこの時期に青春時代を送った、現在60代後半~70代くらいの人々の中には、高度成長期の後期を象徴する出来事として記憶している方もいるかもしれません。そしていまの日本では、まさにその世代である65歳以上の高齢者の自殺が非常に増えているのです

◆自殺者の約4割が65歳以上
政府がまとめた「高齢社会白書」の2014年版によれば、2013年10月1日時点で、日本の総人口は1億2730万人。これに対して65歳以上の高齢者は3190万人と、過去最高を記録しています。総人口に占める割合は25.1%で、日本人の4人に1人が高齢者という時代です。まさに高齢化社会への道を進んでいる中で、高齢者の自殺が深刻な問題となっています。2013年における日本の自殺者数は2万7283人で、そのうち60歳以上の高齢者は1万1034人と、全体の4割近くを占めています。また、主な自殺の理由の内訳は次の通りです。

健康問題:6825人
身体の病気の悩み、精神の病気の悩み、依存症、身体障害の悩みなど

家庭問題:1498人
親子関係の不和、夫婦関係の不和、家族の死亡、家族の将来悲観、介護疲れなど

経済問題:1278人
倒産、事業不振、失業、生活苦、負債(多重債務)、連帯保証債務など

勤務問題:165人
仕事の失敗、職場の人間関係、仕事環境の変化、仕事疲れなど

健康問題を苦にした自殺が多い
上記からも、健康問題を理由に自殺をする人が圧倒的に多いのがわかります。加瀬さんは喉頭がんの手術を受けており、呼吸用のチューブを喉に挿入して生活していたといいます。このチューブを自ら塞ぎ、自殺を図った可能性が高いそうです。加瀬さんは1994年に食道がんを発症しており、手術後は良好な経過をたどり、音楽活動にも励んでいたとのこと。再起を望んでいたファンにとっては、なんとも口惜しい結果となりました。

◆高齢者の人生の質について考える
近年、「QOL」(生活の質)や「健康寿命」という言葉をよく耳にします。単に寿命を延ばすのではなく、心身の健康を伴った老後をいかに送れるようにするかが大事という考えです療養生活を苦に自殺を図る高齢者が多いということは、まだまだ改善の余地があるということでしょう。今後さらに社会の高齢化が進んでいくのであれば、在宅死や介護、看取り、終末医療といった問題についての議論を深めていく必要があります。あるいはさらに一歩踏み込んで、尊厳死という選択肢についても考えていく必要があるのかもしれません

参考 Mocosuku編集部 2015.04.22

【関連する記事】