爆買いで日本が変形

インバウンド(訪日外国人観光客)消費を狙え」が、小売業の合言葉になりつつある――

 2014年の訪日外国人観光客は年間1300万人を突破し、特に東京、大阪などの都市部を中心に外国人による消費で活気づいているインバウンド消費で注目されている株式銘柄の代表格が、大手百貨店・三越伊勢丹ホールディングス傘下の銀座三越。インバウンド売り上げは業界屈指だ。松屋銀座本店も外国人観光客が多い専門店では、観光名所となったディスカウントストア、ドン・キホーテ(運営会社:ドンキホーテホールディングス)や、中国人観光客の定番コースに組み込まれている家電量販店ラオックスなどが有名だ

●異色の小売業シュッピン

このほかにインバウンド消費で業績が急拡大している異色の小売業に、東証マザーズ上場のシュッピンがある。同社は、日本最大級のカメラ取引サイト「Map Camera」や高級時計取引サイト「GMT」を運営するネット通販企業だ一部の男性マニア向けに特化しており、ネット店舗のほかに実店舗でも販売。実店舗は1分野1店の計4店舗に絞り込んでいる。

異変が生じたのは実店舗のほうだ。インバウンドによる免税品売り上げが急増したのである。

【店舗売上高の外国人観光客比率】

・14年3月期
1Q:18.7%、2Q:15.5%、3Q:17.8%、4Q:14.9%

・15年3月期
1Q:32.1%、2Q:34.4%、3Q:40.3%

店舗売上高に占める免税売り上げは12年10~12月までは10%もなかった。2ケタ台に乗るのは13年1~3月以降で、訪日観光客が急増した14年4~6月は32.1%、14年7~9月は34.4%と3割台に乗せ、14年10~12月は40.3%と初めて4割を超え円安で同じブランドの商品が香港などより安いとネットで話題になり、販売が急増した

キヤノンやニコンなど、20万円以上する日本製高級カメラをまとめ買いする観光客が目立った高級時計の伸びも大きく、時計の14年10~12月の免税売上高は前年同期比3.6倍に達した。ほとんどの外国人観光客は高級時計をネットでチェックし、店舗で指名買いした

インバウンド消費の効果で、15年3月期の売り上げは前年同期比14%増の178億円、当期純利益は28%増の4億9900万円と増収増益の見込みだ。ネット通販と実店舗の売り上げは半々

こうした好調を受け、シュッピンはインバウンド関連銘柄として株式市場で注目されるようになった。今年1月30日に上場来高値の1960円をつけた。12年12月の上場時の初値は275円(株式分割考慮後)だったので、約2年で株価は7倍強になった計算になる。

シュッピン社長は一時代を築いた風雲児

シュッピン社長の鈴木慶氏は、パソコン販売で一時代を築いた風雲児として有名だ。21歳でレンタルレコード店を開業したのを皮切りに、1982年にソフマップを設立、パソコンソフトのレンタル事業を始めた。その後、ソフマップは中古パソコンの売買事業にくら替えし、新品も扱った。創業10年で年商1000億円の大企業に押し上げた。

だが、ITバブル崩壊で事業拡大が裏目に出て挫折。2000年、ソフマップ社長を退任し、IT企業ドリームテクノロジーズ(現トライアイズ)社長に専任。同社は01年、ナスダック・ジャパン(現ジャスダック)に上場を果たすが、03年に社長を退任した。そして05年にシュッピンを設立して、高額品に特化したカメラ、時計、筆記具、ロードバイクの中古品、新品のネット通販を開始。12年12月、シュッピンは東証マザーズに上場した

ソフマップなどの事業経験から、シュッピンは「商材・店舗・人員を絞り込み、高い専門性と低コストを追求する」利益重視のビジネスモデルに変更した。それでも、インバウンド消費の急増は想定外だったようだ。円高に戻れば、インバウンドバブルは消える。ITバブルに乗って事業を拡張したソフマップで、鈴木氏は苦い経験を持つ。

インバウンド消費が落ち着いた時にどう対処するかが、シュッピンの今後を占うポイントになりそうだ

参考 Business Journal  2015.05.10

 

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