燃費がウリの車ほど要注意!

三菱自動車のデータ改竄に続いて、燃費の良さで勝負してきた軽自動車の雄・スズキでも不正が発覚した。偽りのない燃費はどうすれば、わかるのか――できるだけリアルな数値を一挙公開しよう!

国交省の怠慢

 思った通りだ。5月18日、三菱自動車に続いて、スズキが燃費の不正測定をしていたことが明らかになった。その範囲は全車種(27車種210万台)に及ぶという。まさに確信犯だが、その言い訳に驚く。

「(本来の)テストコースが海沿いにあり風の影響を受けやすいので、測定値のバラつきを抑えるため」不正な計測をしたというのだ。ならば、そもそもなぜそんな場所にテストコースを作ったのか。そして、測定をメーカー任せにしてきた国土交通省の怠慢にそもそもの責任がある

週刊現代5月16日発売号において、自動車メーカーに燃費不正が蔓延している実態と、国交省の甘い検査体質を追及したが、まさにそれが明るみに出た形だ。モノづくり経営研究所イマジン所長の日野三十四氏が語る。

スズキは法律で定められた路上での『惰行法』ではなく、実験室で車体の空気抵抗やタイヤの転がり抵抗など個別の要素を計測して、それを積算していました

そのやり方だと逆に計測に時間がかかるし、個別要素のバラつきも大きくなり、信頼できるデータになりません。不可解です

これでは、自分たちに都合の良い測定をしていたのではないかと疑われても仕方がない。国交省はスズキにも立ち入り検査をすべきです」

スズキは軽自動車で、ダイハツに次ぐシェア2位(30・3%/’15年)を維持している。軽自動車という、とりわけ燃費競争が激しい分野で、このような不正が行われていたことの意味は大きい

軽自動車は、地方在住者にとっては足代わりである。カタログ上の燃費の数値は、自動車選びに非常に大きな影響を与えるのだ。

「実燃費」が悪い車種は?

 スズキはなぜこのような不正に手を染めたのか。経済ジャーナリストの大西康之氏が語る。

スズキは三菱自動車と違って、それなりに燃費競争にはついていけていました。ですから不正も測定法の問題で燃費データをあからさまに改竄していた三菱のそれとは悪質さの度合いが違う

とはいえ、同様の問題が他のメーカーから続出することになると、日本の自動車メーカー全体のイメージダウンにつながり、非常に心配です。

また逆に、これを機に厳しすぎる燃費測定が義務化されると、メーカーに大きな経済的負担がかかるようになり日本の自動車産業の競争力を削ぐことにもつながりかねません

今後、メーカー側の不正がどれくらい明るみに出るかわからないが、節穴だらけの国交省のチェック体制の下、メーカーの好きなやり方で計測されている燃費など、とうてい信用できるものでないことだけは確かだ

そこで本誌は、リアルなクルマの燃費を計測しているインターネットサイト「e燃費」の協力を得て、代表的100車種のカタログ上の燃費と実際に道を走行した際の燃費にどれくらいの差があるのかを表にまとめた(次ページ)。

「e燃費」の石原正義氏が解説する。

「本サイトは、ドライバーが給油量と車の走行距離を入力すると、自動的に燃費を計算するという仕組みです。現在はガソリンスタンドのレシートと車のメーターの写真を送ってもらえば、それをサイト側が入力するというシステムになっています。ですから、いろいろな種類のクルマが実際のところどれくらいの燃費で走っているかが、如実にわかるのです」

表には、実際に走った際の燃費に加えて、カタログ上に記載されている「表向き」の燃費、そしてカタログの燃費をどれだけ実現できているのかという達成率を掲載した。

達成率が高ければ、カタログの数値に偽りがない「正直なクルマ」、逆に低ければ「看板に偽りあり」というわけだ

ハイブリッド車や軽自動車など燃費を売りにする車ほど実燃費とカタログ燃費の乖離が大きくなる傾向があります

’09年に三代目プリウスが発売されて以降、消費者が燃費の数値に敏感になり、各メーカーが表向きの燃費をできるだけよくしようと競争を繰り広げた結果、カタログの数字が独り歩きするようになったのではないでしょうか逆にクーペやSUVなど、もともと燃費の悪いクルマは乖離が少ない傾向にあります」(石原氏)

この表を見れば、カタログの燃費が「机上の空論」であることは明らか三菱やスズキの不正は氷山の一角かもしれない

「週刊現代」2016年6月4日号より

現代ビジネス2016.05.30

 images-3-48-150x150images

【関連する記事】