熊本地震、被災者の「食」をどう守る

熊本地震の被災地では、避難生活が長期化するにつれ、被災者の「食」が課題となる地震発生直後は、命をつなぐために、とにかく食べることが重要だったが、今後は体調維持を考えた栄養のバランスや、カロリー過多にも気を配らなければならない。厚生労働省や自治体も状況の把握を進めている。 (高瀬真由子)

食事は取れているが、おかずが十分にないときがある特に子供の栄養バランスが心配です

地震発生から1週間が過ぎたころ。熊本県益城町の米田七穂さん(32)は食事への懸念を口にした。そばには7歳と2歳の子供がいる。

避難所では自衛隊や支援団体による炊き出しが続く。発生直後こそ分量が十分とはいえない避難所もあったが、被災者は食や水を口にすることができている

ただ、屋外での炊き出しは献立が限定される。特に野菜を十分に提供することが難しい

被災地支援を行っている日本栄養士会(東京)によると、避難所で得に課題になるのが高齢者や乳幼児、アレルギー患者ら、配慮が必要な人への対応だという。普段、食べているものが確保できず、必要な栄養が不足する懸念があるからだ

高齢者の中には、軟らかいものしか食べられない人もいる。アレルギー患者の場合はより深刻だ。誤って原因物質を口にすれば、命に関わる事態になる。

また、パンやおにぎりなど炭水化物に偏りがちで、ビタミンやミネラル、タンパク質は不足する傾向があるという

栄養バランスに加え、カロリーの過剰摂取を心配する声も出る

熊本県益城町のある避難所では、4月下旬のある日、複数の外食チェーンが支援に訪れた。

牛丼、ピザ、ハンバーガー、ラーメン…。こうした食事が同じ日に一斉に振る舞われた。避難所のスタッフは「ありがたいことではあるが、全て食べれば明らかにカロリーを取りすぎです」と語った。

アイスクリームや菓子を提供する支援者もいる。こうした食の支援は、善意の発露であることは間違いない。

とはいえ被災者は、体を動かす機会が少ない生活を送っている。カロリー過多に加え、虫歯なども問題となる

こうした点は東日本大震災の被災地でも課題となった。

日本栄養士会は行政と連携し、食事状況の把握や献立の充実に努める。被災地で活動する下浦佳之常務理事は「避難所では今後、低栄養と過栄養が混在してくる懸念がある。提供される食材は少しずつ拡大しており、選べる場合はできるだけバランスに気を付けてほしい」と呼び掛けた

産経新聞2016.05.05

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