熊本地震、畜産・農業にも被害甚大

熊本地震では、農業など1次産業も大きな打撃を受けた施設や機械の損傷が相次ぎ、農家の避難によって田畑の手入れなども難しい全国有数の農業県・熊本を襲った地震の影響は、長期化する可能性が大きくなっている。(中村雅和)

◆家畜救出は後手

畜舎の倒壊などで、熊本県内では乳牛など少なくとも60頭が圧死した

最大震度7を記録した西原村では倒壊した牛舎に取り残された牛が、か細い鳴き声を上げる姿がみられた。牧場の入り口には、牛が逃げ出さないよう、ロール状に包まれた牧草が積み上げられていた

やむを得ないとはいえ、行方不明者の捜索や、道路復旧が優先され、家畜の救出は後手に回った

また、家畜が無事だった農家も、打撃を受けている。

乳牛は、毎日搾乳しなければならないだが、断水のため、生乳を集めるパイプの洗浄などができず、牛乳として出荷できない。道路事情などから加工工場へ運ぶことも難しい。

こうして約500トンの生乳が廃棄された。熊本県酪農業協同組合連合会が運営する県内2カ所の工場のうち、熊本市内の工場は施設が破損し、22日も休止したままだ。廃乳は今後も増えるとみられる

大きな被害に遭った益城町はスイカやメロンの一大産地として知られる。特に毎年4~6月は、熊本をはじめ九州産のスイカやメロンが市場で大きなウエートを占める。

スイカやメロンの出荷にあたっては、重さや糖度を調べる選果作業が欠かせない。JA熊本などでは発生当初、こうした選果を、被害が軽かった地域で受け入れるなど、支援を続けた

22日には町内の選果場で、自動選果機による作業が再開した。

それでも町内の農家の男性(72)は「農具などを保管していた小屋が崩れた。余震が続き、片づけも思い通りに進められない」と嘆いた

熊本県の平成26年の農業産出額は全国6位の3283億円だった。中でも、トマト、スイカの生産額は全国トップで、メロンやナスなども上位に入る

県のまとめでは、県内の選果場やビニールハウスなど少なくとも50カ所で被害があった。

また被災地では、毎年6月ごろに田植えが始まる。農作業ができる態勢に復旧するか微妙だといえる

◆極端な品薄なし

ただ、農産品の極端な品薄や価格の乱高下は見られないという。

熊本県は、ピークを迎えるスイカやメロンを何とか出荷しようと、国土交通省や九州管区警察局とも連携し、九州道の植木-益城熊本空港インターチェンジ(IC)間で、出荷用トラックの運行を20日午後に再開した

九州一円から農産品が集まる福岡市の新青果市場「ベジフルスタジアム」で青果を取り扱う卸売会社、福岡大同青果の担当者は「入荷落ち込みを心配していたが、被災地内外の生産者の努力で、これまでのところ、取り扱い量に大きな変化はない」と語った

産経新聞2016.04.23

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