熊本地震→物流に海路活かせ

熊本地震では陸路の大動脈である九州道が一部不通となった上、被災地に向かう支援車両と、被災地から出る避難車両で一般道が大渋滞したそれでも、阪神大震災(平成7年)や東日本大震災(23年)を教訓として、政府は代替ルートとして海路の活用を模索しており、原材料や製品の輸送に、熊本県南部の八代港を使う企業もあった。(九州総局 中村雅和)

23日、コンテナ船「南新丸」が熊本県八代市の八代港を出港した

運航する井本商運(神戸市中央区)は通常、神戸-博多、神戸-志布志(鹿児島県志布志市)を結んでいる。今回の地震発生後、国土交通省の呼び掛けに応じて、神戸-博多間の船を、八代港まで延ばす臨時航路を開設した。その初便だった

同社担当者は「今回の地震で、八代港など港湾設備は大きな被害を受けなかった。大渋滞の陸路と比べて定時性も確保でき、大量の荷物を輸送できる。活用のメリットは大きい」と語った当面の間、神戸-博多-八代を、週1往復する。利用状況によって、増便や他の航路開設も検討するという

23日の初便には、日本製紙八代工場(熊本県八代市)で生産した新聞用紙のロールも積み込まれた。

同工場は一連の地震の被害を受け、約1週間操業をストップした。その間、在庫の用紙を陸路で輸送したが、福岡県までは往復11時間もかかったという

陸路の渋滞解消のめどがたたない中、日本製紙は「新聞用紙の供給をとめることはできない」として、一時的に海路も使った。通常、新聞用紙の海上輸送には専用船を利用するが、非常時の措置としてコンテナに積み込んだ。同社の担当者は「今回は試験的な利用だが、状況を検証し、緊急時の代替輸送計画に役立てたい」と語った

八代港活用の旗を振った国交省には、緊急物資以外の日常的な企業・経済活動を支える物流を、海運で代替しようという狙いがあった

東日本大震災では無傷だった日本海側の港湾と、陸路を組み合わせて、太平洋側の被災地へ物資を運ぶルートが構築された

港湾機能さえ回復すれば、海上輸送は渋滞に巻き込まれることもなく、一度に大量の荷を運搬できる

この教訓もあり、政府は熊本地震でも、港湾の迅速な復旧を重視した

発生直後に国交省と港湾空港技術研究所が緊急調査団を派遣した熊本県とも協力し、港へのアクセス道路や施設の点検を進め、21日までに熊本港や八代港の応急復旧を終えた

国交省港湾経済課の担当者は「災害発生直後は、トラックなども緊急物資の輸送に集中してしまい、確保が難しい工場設備が復旧しても、原材料の搬入や出荷が滞ってしまえば意味がない。海上輸送は代替ルートとして非常に大きな存在だ」と強調した

産経新聞2016.04.27

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