減量の最終手段は胃を小さくすること?!

肥満手術というと、美容のために脂肪を吸引するといった内容を連想する人もいるかもしれません。ここで取り上げる肥満手術はそれとは異なります。肥満手術(減量手術)とは、そのまま放置しておくと生命が危ぶまれるような病的な肥満に対して行うものです。何通りもの方法がある肥満手術のなかで、2014年に「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」という方法が保険診療として承認されました病的な肥満に対しては、一定の条件を満たせば保険が適用されます。ここでは、その条件と手術の内容についてみておきましょう。

◆肥満手術が適用されるケース
肥満手術を受ける条件は次の通りです。

1)内科的治療を6か月以上行ったにもかかわらず改善が困難

2)BMIが35以上で肥満に関係する病気を合併している場合、またはBMIが40以上の場合

3)上記を満たしていても、手術の危険性を高める心疾患や肺疾患がある場合や、肥満の原因が内分泌疾患や薬物による二次性肥満の場合、薬物依存やアルコール依存がある場合など医師が危険と判断したときは手術を受けられません

BMIは「体重(kg)÷身長(m)の2乗」の式に当てはめて計算します。例えば、身長158cmの人の場合、体重約88kgでBMIが35を超え、体重約100kgでBMIが40を超える計算になります。

◆腹腔鏡下スリーブ状胃切除術による減量の仕組み
腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」はひとことでいうと、胃を小さくする手術です。手術後は栄養の摂取量が減り、半強制的に減量が可能になります。同手術を行うと、1年目、2年目、3年目と次第に体重が減少し、危険な肥満の状態から脱していきます目安としては、20~30kg体重が減った段階で、肥満を原因とする健康障害はほぼ改善すると考えられています

手術では胃をバナナのように細くし、胃の容量を100ml程度にとどめる処置が施されます。これにより食事摂取量が制限されるとともに、グレリンという食欲を刺激するホルモンの分泌が減少します。デメリットとしては、吐き気や嘔吐が生じることがある、小さくした胃が拡張して効果が得られないことがある、切り取った胃は元に戻せない、などがあります

◆「楽してやせる」ための治療ではない
病的な肥満の治療は医師、看護師、栄養士、理学療法士、心理療法士などで構成するチーム医療で行われる総合的なケアです。また、スタッフと患者の信頼関係に基づく長期的な取り組みが不可欠となりますそのなかで肥満手術はあくまでも補助的な位置づけとなっています

肥満手術は肥満を原因とする糖尿病、高血圧、脂質代謝異常などの生活習慣病による生命の危機を回避するという切実な問題に向き合うものです腹腔鏡で胃を切除する手術は大手術といってよく、相応のリスクを伴うため、決して気軽に受けられる治療ではありません。医療スタッフと信頼関係を築けない人、「楽してやせたい」という発想の人は「お断り」されることもあるそうです。

参考 Mocosuku編集部 2015.07.07

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