海水の起源→彗星でなく小惑星

彗星探査機ロゼ0ッタの観測チームは10日、古代の地球に宇宙から海をもたらしたのは彗星ではなく小惑星である可能性が高いと結論づけた

地球の海水はどこからやって来たのだろう? 今回の研究では、約38億年前に大量の彗星が飛来したとき、地表に水がもたらされたかどうかという長年の疑問に迫った。そして、その可能性は低いという結論を導き出した

チームを率いるスイス、ベルン大学のキャスリン・アルウェッグ(Kathrin Altwegg)氏は、「地表の水はおそらく小惑星によってもたらされた」と述べている

「Science」誌に発表された論文によれば、ロゼッタは現在、直径4.1キロのごつごつしたチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)を周回している。

67Pは太陽から4億1800万キロ超の位置にある。

◆宇宙からの爆撃

彗星は氷とちりの塊ではるかかなたの宇宙空間を飛びながら、時折、太陽の近くを通過する約46億年前に太陽系が誕生してから、彗星と小惑星は8億年にわたって衝突を繰り返していた。そして、地球や月、ほかの惑星に突入し、最期を飾った。この出来事が起きた期間は後期重爆撃期と呼ばれる

間違いなく、初期の地球にも彗星が突入している。そのため、惑星科学者たちは長年、宇宙の氷山とでも呼ぶべき彗星が海の水をもたらしたのではないかと考えてきた

アルウェッグ氏によれば、地球は球体になったとき、地表の水はすべて蒸発してしまうマグマの塊だった可能性が高いという。科学者たちが海の起源を宇宙に求めるのはそのためだ

そして3年前、彗星が地球に水をもたらしたという説を後押しする発見があった。欧州宇宙機関(ESA)のハーシェル宇宙望遠鏡が、ハートレー第2彗星に化学的な構造が地球のものとよく似た氷を見つけたのだ。ハートレー第2彗星は67Pと同様、海王星の軌道のすぐ外側にあるエッジワース・カイパーベルトが起源と考えられている。

今回の研究結果はその仮説を否定するものだ。「われわれは違う発見をしてしまった」とアルウェッグ氏は話す。「これまでよりわくわくする発見だ」。アルウェッグ氏は、67Pの約23キロ上空を周回するロゼッタに搭載された分光計の運用を指揮している。

アルウェッグ氏らは分光計を使い、67Pの表面の氷に含まれる重水素の量を測定した。通常の水には水素原子が含まれるが、“重い”水には重水素が含まれる。

論文によれば、67Pの氷に含まれる重い水の比率は地球の海より3倍ほど大きいという

これでカイパーベルトが起源の彗星が初期の地球に水をもたらした可能性は消えたと、アルウェッグ氏は主張する。67Pのように重元素の量が多い彗星はたとえ少数でも、初期の地球にできたくぼみの重い水の比率を急上昇させるためだ。

◆答えは小惑星

カイパーベルトの彗星と地球では重い水の比率が異なる可能性が出てきたことから、アルウェッグ氏は、地球の海の水は小惑星の衝突によってもたらされたという新たな説を唱えている。小惑星は小さな岩石の天体で、多くが火星と木星の間で観測される。

アルウェッグ氏によれば、最初期の太陽は現在ほど高温ではなく、小惑星にも水が凍ったまま存在できたという。初期の太陽系では、太陽から最も遠く、最も冷たい場所、つまり彗星が集まる場所で重水素が凝集したと考えられているため、小惑星の氷は重水素の比率がはるかに小さい可能性が高い

参考 ナショナルジオグラフィック  2014.12.11

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