気をつかっているはずの食事は塩分過多!?

“減塩”というと、高血圧や腎臓疾患の対策法と思われがちだ。さらにいえば、減塩は暴飲暴食の不摂生なオジサンの対策であって「私たちには関係ないもの」と思っている人も多いのでは? 実際、ダイエットをしているという女性は周りにいても、「私、今減塩中なの」という女性は少ない。でも、若い世代の女性に減塩は無関係という意識は、実は大間違い。意外と知られていないが、減塩には高血圧や腎臓疾患以外にもさまざまな効果があり、世界的には、がん患者の食事療法としても注目されている。また、ダイエットにおいても減塩は大きな効果を発揮するという。実は“知らなきゃ損”な効果がたくさん詰まっているのだ。

まずは、私たち日本人の“減塩偏差値”を知っておこう。昨年、和食は世界遺産になり世界的にも再注目された低カロリーで素材のバリエーションも豊富、動物性脂質が低い和食は、世界のなかでも有数なヘルシー食といわれている。が、栄養評価で唯一ポイントを下げてしまうのが、塩分摂取量だ

日本は世界的に見ても“塩分過剰”のレッテルが貼られているという

「欧米諸国の多くの国では、一日の塩分摂取量は7.7g前後です。ところが日本は日に平均10gと、欧米諸国よりもかなり多くの塩分を摂取しています。もともとアジア諸国は塩分摂取量が多い地域ですが、日本は中国に次いで摂取量が多い国なのです」というのは、がん患者の栄養指導で減塩療法を用いている東京健康クリニックの副院長・浜口玲央先生だ。

WHO(世界保健機関)では、今から11年も前の2003年から食塩摂取目標量を一日に5g未満が望ましいと定めている。ところが日本人にこの基準は厳しく、厚生労働省は日本人の食事摂取基準 2015年版で、食塩は「18歳以上男性8.0g未満、18歳以上女性7.0g未満」を目標量と定めている

「日本は『高血圧治療ガイドライン2014』で一日6g未満、病院の減塩食でも日に6~7g未満という設定にしました。ですが、それでもまだWHOの基準を満たしていないのです。それだけ日本人の減塩は難しく、無意識のうちに塩分過多になっている人が多いのです。欧米の健康志向の人たちの間では、塩分を抑えることはもはや常識。特別な健康法ではなく、当たり前の健康意識として根付いています。 まずは世界基準に近い減塩意識を持つべきです」と浜口先生。

すっかり出遅れている、日本人の減塩意識。さらに浜口先生は、「減塩すると、食がソフィスティケイトされますよ」とも。そんな減塩の知識と魅力をまとめてみることにしよう。

1. 塩分過多が太る要因に

塩分を摂りすぎると、むくむ。なぜなら塩分を摂取すると体液の塩分濃度が上がり、それと同時に浸透圧も上がる。体は濃度を薄めようと水分を引き寄せるために、水分が過剰に溜まるからだ。

では、肥満に繋がるのはなぜなのか? それには大きく3つの理由がある。

1. 塩分過多な食事は、味が濃い。味が濃いものは食欲を増す働きがあるので、食べすぎが起きやすい

2. 塩分過多な食事は、塩分だけが高いわけではない。同時に糖分や脂質も高いものが多い。加工されている食品が多いので、添加物も多く含まれ、カロリー数も高い傾向がある。

3. 塩分過多になるとむくむ。

むくみ=肥満ではないが、むくむことで、水分が溜まり冷えやすくなるため、体は脂肪を溜めて熱を保とうと自己防衛し始める。この働きで脂肪がつきやすくなると考えられているのだ

2. 減塩はがんの食事療法にも

減塩というと、高血圧や腎臓などの循環器系の病気に効果があることは知られている。が、実はがんの食事療法としても今注目されているがん細胞には他の細胞とは異なるガン特有の代謝があるその代謝には糖分が使われるのだが、その代謝の際にできる乳酸という疲労物質を排出するためにはナトリウム=塩分が必要になるという

ところが、減塩するとがんの代謝のポンプ機能がストップし、がんの進行が抑えられる可能性があると考えられているのだ。この仕組みを使った創薬も行われているが、今のところ効果を出しているのは、減塩だという。減塩=がんが完治するとは言い切れないが、治療の手助けとして、活用し始めている医療機関も増えている。

3. 減塩で食事の質が向上!?

減塩だけを実行したらメタボが改善できたというケースがとても多いという。減塩だけで糖質制限などは意識していないのに、血糖値や中性脂肪も同時に下がった、ということは少なくない。

その理由は、意識して減塩すると、外食や加工食品を選べなくなるからだ。例えば、市販の食パンにはかなりたくさんの塩分が含まれている。小麦粉を使った加工食品は、うま味を増すために塩分もかなり入れていることが多い。だから、減塩を始めるとこういったものに手を出す機会が減り、糖質の摂取量も自然に減るというわけだ。きちんと減塩するとなると、野菜や肉、魚などの素材を購入して自分で調理することになるので、食の質全体が底上げされ、自然と「きれいな食事」をとるようになるのだ

4. 麺類好きは要注意

減塩というと、味覚としてしょっぱいものだけを避けてしまいがち。味噌汁などを避ける人が多いが、野菜を多めにして味つけを濃くしなければ、さほど塩分量は多くない。逆に意外と多いのが、麺類。麺類はスープにも具にも塩分が多い。スープを残しても、麺類の塩分の半分以上は麺に含まれている。きつねうどんなら、汁・麺・お揚げのすべてに塩分が含まれており、1 杯で一日の塩分摂取量の大半を食してしまうことに。これからの季節だと、そうめんは麺にも汁にも塩分が多く含まれるので注意したい。

また、気をつけたいのは「減塩」「薄口」という表示。「減塩」といっても実際はさほどでもなかったり、また、薄口醤油は、普通の醤油よりも実は塩分が高い。言葉に惑わされないためにも、成分表示の「ナトリウム」を確認するクセをつけたい。さらに、見えない塩分が入っている食事(加工食品や外食など)の量を減らすことも大切だ。

5. 無塩ファスティングにトライ

減塩ビギナーにオススメなのが“無塩ファスティング”、つまり、塩分断食だ。週末など1日だけと決めて、徹底的に塩分を抜いてみる。不思議なことに1日塩分を抜くと、塩分に対して味覚が敏感になり、翌日から口にするものの塩分量を計らずとも、味覚として敏感になれる。1週間に1度でも無塩ファスティングを行うだけで、知らぬ間に減塩食に変わっていたという人も多いという

ただしこれからの季節、炎天下で多量の汗をかいた日などは、減塩は抑えめに。とはいえ通常は基準値を超えている人が圧倒的に多いので、まずは週末の“無塩生活”から始めてみよう

参考 ハーパーズバザー・オンライン 2016.01.16

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